コラム:組織づくり | ブログ・コラム - パート 6

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カテゴリ:コラム:組織づくり

2030年待ったなし!SDGsから持続可能な組織へ 導入編

2022.7.6

阪本です。先日4歳の息子が、「ぼくたちこれからどこ行くの?」「ぼくたちこれからどうなっちゃうの?♪」っていう歌詞を口づさんでいてなんてシュール?何?と思ったら、この歌、これの次に流れるんやで〜「ひろがれ!いろとりどーり♪」・・あー!これは聞いたことがある!eテレのSDGsの歌。この番組、面白く身の回りのものの一生を取り上げている内容で、大人にも勉強になります。金属製品、タイヤやガラス瓶、電車、段ボールなど身の回りにあるものが対象で、事業者の皆様で製造や流通上で関わっている方も多いと思います。良かったら見てみてくださいね。https://www.nhk.or.jp/school/sonota/bokudoko/

そんな感じで、SDGsはアルファベットの歌のように当たり前に刷り込まれている世代がどんどん主役になっていく時代。2030年まであと8年しかありません。小中高の学習指導要領にも「持続可能な開発のための教育:SDGs実現に向けて(ESD for 2030)」が2019年から盛り込まれていますしね〜。SDGsネイティブの社会人ばかりの時代がもうそこまで来ています。そして次の2050年のCO2排出量正味ゼロに向けた取り組みも始まっています。(写真は京北町の京都里山SDGsラボことすの床に並べてあったSDGsの17の目標)

京都だけでなく他の自治体でも企業のSDGsに関する認証や認定制度があります。金融支援の分野では、SDGs関連の融資として全国では2018年に滋賀銀行がいち早く取り組み、その後、各金融機関も認証制度や金利優遇制度が相次ぎつくられました。

引用元:https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000295638.html

人材採用の面でも学生が重視する項目にあげています。SDGsが採択されたのは2015年9月ですが、それ以前から京都市でも四方良し(「売り手よし、買い手よし、世間よし」+「未来よし」)という言葉が使われており、これは今でこそ頻繁に聞かれるようになったSDGs経営そのものですね。

SDGsの基本

国際連合広報センター 「2030アジェンダ」
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

企業の取組状況

SDGsには17の目標がありますが、その中で企業が特に取り組んでいる目標で多いものは以下です。

引用元:公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)

今やっていることが当てはまるというラベリングをするだけで、「SDGsに取り組んでいるから大丈夫」というのでは意味がありません。17の目標はすべてつながっているものであり一つを解決して終わりではありません。

自社の事業活動(仕入工程、製造工程、販売だけでなく社内プロセス)を見直して、もっと良くするためにできることはないか、課題を生み出していることに気づいたら少しでも軽減できないかを考えていくことで、今後取り組める目標を選べます。

とはいえ、断片的・表面的な情報があまりにあふれている中、実際に、何から取り組んだらいいのでしょうか。「個人としては環境にやさしいことを考えてやっている」「自治体や大企業がやってくれる取り組みに乗っかっている」っていう人も個人では多いかもしれません。

自社の在り方と強みをSDGSで仕立て直す

企業が取り組むSDGsでは、「バックキャスティング」(ありたい未来から考える)ということがいわれているのですが、ありたい未来は新たに漠然としたもの、地球規模のものを設定するのではなく、自社の在り方を見直すことでてくることだと思います。自社の事業が継続できるということは、世の中にお役立ちできる社会的価値を生み出しているはずです。それを言語化する、そして従業員と具体的にできることを話す場をつくることがきっかけになります。

基本理念は「誰一人取り残さない」

チェックシートによる自己診断、経営層や広報担当者の一部で記入やヒアリングを受けた書類で認証された、認定されたというだけでは、SDGsウォッシュとなってしまいます。一番身近な従業員を取り残していることになってしまいます。本業で社会課題を解決するってどういうこと?という問いに、パート、アルバイトも含めた従業員全員で考えていきましょう。これが働きがいにもつながります。働き方改革と共通するものもありませんか?次は、具体例も交えてご紹介しますね。

 

持続可能な組織づくりのために、対話型の研修を実施しています。

2030年、そして2050年を目指して組織をつくっていきましょう

 

 

 

 

 

白井旬さんの参考書籍;経営戦略としてのSDGs・ESG: “未来から愛される会社”になって地域×業界No.1を目指す

中小企業診断士 阪本純子

※メンバーの「自己理解・他者理解」を促進し、社員が主体性を引き出して持続可能な組織づくりをしませんか?詳しくはこちらをご覧ください。

組織が磨かれるリーダーシップ④~人的資本経営とシェアド・リーダーシップ~

2022.5.9

阪本です。

学校行事も再開、制限はありつつも対面の機会が戻ってきました。一方、コロナ禍で始まったオンラインでの朝活も継続しています。

前回「人は関わることで、主体的になる場が増えていく」と書きましたが、複数の組織、コミュニティに関わることで、自分事となる課題は増えていくことを、ますます実感する毎日です。日々のお客様との出会いに感謝しています。そして、その関わる組織で、自己理解と他者理解を積極的に進めていけば、「自分事」「主体性」って発揮できることを身をもって感じています。さて、今回も引き続き人と組織に関するリーダーシップについて考えてみました。

前回のブログ:https://accelc.co.jp/blog/soshiki7/

人的資源を「管理する」はもう古い、人的資本による価値創造へ

経営資源の基本は、古典的ですが、基本として人・モノ・カネ・情報といわれます。会社の経営計画策定のフレームワークとしてよく使われますよね。そして近年、目立ってきた「人的資本経営」として考えてみましょう。「資源」ではなく「資本」と言われるのはなぜでしょう?上場企業だけでなく、小さな会社でも今後のありたい姿を考えるうえで重要なことです。

【経営資源】

企業が経営を行う上で利用できる有形あるいは無形の資源。人的資源・物的資源・資金力・情報・商標・信用などの総体をいう。

 

経営資源のうち人的資源は、特殊なものです。会社が自由にコントロールできませんし、感情や状態によって変化するものです。資源は、企業が付加価値を生み出すために必要なものです。特に最近は人的資源を充実させるために人材戦略としてリスキリングやリカレントの重要性があちらこちらで話題になるようになりました。とはいいつつ、HRMという言葉に現われているように「人的資源管理」、人は管理の領域であり、人材育成費用として捉えられていました。

それが、近年は人的資本=ヒューマンキャピタルとして、「管理」ではなく。価値創造できるものであり、人材育成が「費用」ではなく「投資」として捉えられるようになっています。人々の価値観や働き方が多様化し、様々な考え方や背景を持つ人が個々を磨いて、それを組織の力として活かしていかなければ事業継続ができない状態になってきたからともいえます。

多様な働き方ができないと人は定着しませんし、少子高齢化で将来にも不安がある世の中です。人生100年時代、より長く働く時代に突入しています。人的資本を可視化するために企業は賃金や離職率といった分かりやすい数値的なことだけではなく、エンゲージメントや従業員満足度、従業員の育成への投資など定性的なものを分かりやすく見える化して公開していくことになってきています。それらが会社を評価するための指標となり、求職者だけでなく顧客も企業を選ぶ基準になってきています。

【人的資本】

一般に、人的資本は個人の持って生まれた才能や能力と、教育や訓練を通じて身につける技能や知識を合わせたものとして幅広く定義される。(時には健康も含まれる。)ただし、人的資本の概念を熱狂的に受け入れている実業界ではこれをもっと狭く定義する傾向があり、主に企業や特定産業の成功に直接的に係わる労働力の技能や能力と見なされている。(経済協力開発機構(OECD)の定義)

人的資本経営で有効なシェアド・リーダーシップ

人的資本経営では、共感や対話を通じて「個の力」を「組織の力」へ高めていくことが欠かせません。経営者はもちろん、経営に近い立場にある役職者にも当然必須な能力となります。旧来型のリーダーシップである経営の方向を示して、価値観を揃えて数字を掲げて部下を率いる「自分についてこい」タイプ、いわゆるカリスマタイプ、ワンマンタイプといった支配型のリーダーシップは時代遅れであることは誰もが感じています。

以前こちらで書いた組織を支える「サーバントリーダーシップ」はまさに大切なリーダーシップの概念ですよね。今回は、加えて「シェアド・リーダーシップ」についてもご紹介します。「シェアド・リーダーシップ」とは「チームメンバー全員でリーダーシップを発揮する」ということです。人的資本経営への注目と合わせて見直されているリーダーシップの概念です。

組織表上の管理職や役職者だけでなく、全員がリーダーシップを持って活躍できる組織ってどうやったらつくれるのでしょうか?新しくつくった組織であれば、ひとりひとりがそういった意識を持てるのでしょうが、元々支配型のリーダーシップやヒエラルキーな組織として継続している企業であれば、「メンバーから自発的に」ということを説いても、つくっていくことができません、リーダーシップを発揮する環境づくりを率先してできるのは、現状の多くの中小企業の組織であれば、経営層でしかないのです。

その環境づくりの第一歩は、経営層が、課題や問題と感じていることを常に見えるようにしておく、情報を公開していないと巻き込めません。全体感を把握できるような仕組みを作っておくことです。全体感を把握できず部分的な一部分の仕事しか見えないと、メンバーにリーダーシップを発揮できる場がありません。

その上で、活発なコミュニケーションができる土壌のもと信頼関係が培われている状態をつくっていくことで、安心して自発的に行動できるようになっていきます。そのためにも、役職としてのリーダーはもちろんメンバーそれぞれの強みや弱みを把握していること、自己理解と他者理解ができていること、全員が積極的にお互いのことに関心を持っていることが必要となります。

~まとめ~

シェアード・リーダーシップを発揮できるような環境は、①活発なコミュニケーションがある②お互いの自己理解・他者理解が進んでいる③目標と情報が共有されていて情報の偏りがないという、環境です。その環境をつくっていくことで、結果として成果を生み出す組織、生産性の向上が期待できます。

関連するサーバント・リーダーシップについては、以前のコラムもご覧ください。

組織が磨かれるリーダーシップ①~関係性の質とリーダーシップ~

https://accelc.co.jp/blog/soshiki4/

人的資本経営については経済産業省の検討会資料も大変参考になります。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinteki_shihon/pdf/009_02_00.pdf

中小企業診断士 阪本純子

※メンバーの「自己理解・他者理解」を促進し、社員が主体性を引き出す環境をつくるコンサルティングを行っています。「私たちが決めた、自分事になった行動指針」について、詳しくはこちらをご覧ください。

リアルとオンラインの共存社会でのコミュニケーション

2022.4.10

今年も春を彩ってくれた桜。風が吹くとひらひらとピンクの花びらが舞い、そろそろ見納めです。決まって頭の中で流れるBGMは「満開の桜をこの先いったい何度見ることになるだろう」と歌っている、大好きな竹内まりやさんの「人生の扉」。桜の季節は短いだけに、なんとなく切ない気持ち。ちょうど旅立ちや別れの季節でもあるからでしょうね。

先日、小学校の卒業式を終えた甥っ子が会いに来てくれました。関東在住なので、コロナ禍でずっと会えず、3年ぶり。甥っ子の話では、同級生でも約半数が住所によって中学校区が変わるため、お隣の中学に分かれてしまうらしい。会えなくなる友達も多いということなので「卒業式は泣いた?」と聞いてみると、「全然~。だって、いつもオンラインゲームしてるし、チャットもできるし、今までと変わらないから~」と意外にあっさりしている。なるほど、これがZ世代か!と。
仰げば尊しを歌って涙したウェットな卒業式は今ではもう昔のことのようです。

生まれた時にはすでにインターネットやデジタル機器が身近にあり、日常生活の中でデジタルを活用することが当たり前の彼らの世代。(Z世代についてはこちらにも書いています。⇒「Z世代の価値観をつかむ ~SNSネイティブに向けたマーケティング~」)
リアルとオンラインの共存がいたって自然な日常となっている彼らにとって、会えないことはそれほど大きな障害ではないのでしょうか?

いや、決してそうとは言い切れませんね。このコロナ禍に高校や大学に入学したもののリモート授業ばかりで新しい友人ができず寂しい思いをしたり、就職活動で孤独感を感じたりしている若者が多くいることは、よく耳にします。

最低限必要な情報の伝達や意思疎通はオンラインで可能かもしれません。しかし、相手との信頼関係を築き、一体感や連帯意識が持てるようになるためにはそれだけでは十分とは言えません。特に、多様な価値観を持つ人が交わって同じ目標や一つの目的に向かうとき、まずはお互いに理解し合った上で協力しなければなりません。そのためには密なコミュニケーションを取りながら人間関係を深めていくことが必要です。

コミュニケーションには大きく分けて2つあり、たとえば話す、メッセージを書くといった、言葉を使うコミュニケーションのことを「言語コミュニケーション(バーバル・コミュニケーション)」というのに対して、表情や顔色、声のトーン、話す速度や間、視線、ジェスチャー(身振り手振り)、姿勢、動き(うなずきや振る舞い全般)、服装や髪形、香りなど言葉以外のコミュニケーションのことを「非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)」といいます。

同じ空間にいれば、こうした相手の様子を目で見て、感じて、より深く理解し、思いやることができます。また、オンラインでは減ってしまいがちな、いわゆる雑談や世間話をすることで、相手との距離が縮まって共通点を見つけたり興味を抱いたりすることができ、良好な人間関係が築かれていきます。
そうした時間を重ねることが仲間意識や連帯感を醸成し、協力して目標を達成したときの充実感を共有することで、さらなる意欲の向上やモチベーションが高まります。
このような人間関係の土台がしっかりと築かれた環境であれば、オンラインもうまく活用しながらさらに良好なコミュニケーションをとっていくことができるでしょう。

この季節、新入社員を迎えられた職場も多いことと思います。コロナ禍で青春の一時期を過ごし、コミュニケーションの重要性をこれまでにないほど認識したZ世代を迎えるにあたって、社内のコミュニケーションのあり方は今のままで良いか、あらためて見直してみませんか?
社会人としての第一歩を踏み出す彼らにとって最初の職場での経験は、その後のキャリア形成に大きく影響するはずです。私自身、大学卒業後、最初に勤めた会社で学び経験させてもらったことや、そこで築かれた人間関係が、今の自分の生き方にもつながっていると感じています。彼らがこれからの人生、働くことに喜びを感じていけるような、そんなスタート地点にしてあげてください。

ちなみに、卒業式も意外にあっさりしていた甥っ子の場合は、リアルの場ですでに十分な信頼関係が築けている友達と日常的にオンラインを上手に活用できているケースだと理解します。あるいは、桜の花のような切なさを感じるにはまだまだ幼いだけなのかもしれません。

中小企業診断士 大山 マリ子

人財育成

ハイブリッド常態化でのリーダーシップ

2022.3.8

阪本です。特に学びの世界で『ハイブリッド教育』という言葉も使われるようになり、大学や高校でのオンライン+学校で学ぶ「ハイブリッド型授業」も広がり、学びの多様性が広がっています。これって企業でも共通するのではないでしょうか。

浸透してきたあらゆる場所や場面での「ハイブリッド」。その中でも働く場としての「ハイブリッドワーク」での、リーダーシップのあり方について考えてみます。

以前に書いたブログも2年近く前の記事ですが、今でも読んでいただいているようで、読まれていない方はこちらも合わせてお目通しいただけると嬉しいです!

https://accelc.co.jp/blog/withcsoshiki/

コロナ禍をきっかけにして、もともと制度として持っていた大企業やなんとなく仕方なしにやっていた小規模企業の方も(もちろんコロナ前から積極的にリモートワークを当たり前に整えていた事業者さんもいますが)、リモートワーク、テレワークが当たり前に定着してきました。テレワークとオフィス出社を併用するような「ハイブリッドワーク」が常態化してきました。

完全テレワークよりもハイブリッドワークを求める人の方が多いという調査結果があります。(ご参考に・・・)

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/leveling-the-playing-field-in-the-new-hybrid-workplace

  • 現在ナレッジワーカーの過半数(58%)がハイブリッドワークを行っているほか、3 分の 2 が自分の希望する働き方としてハイブリッドモデルを挙げています。
  • すべての従業員体験指標において、ハイブリッドワークとリモートワークの従業員によるスコアがオフィス勤務者のスコアを上回りました。完全オフィス勤務者にとっては、ワークライフバランスと仕事関連のストレスが大きい課題であることも判明しています。
  • 経営層、白人のナレッジワーカー、男性、子供のいない人ではオフィス勤務を選ぶ割合が高いことから、今後の職場では近接性バイアスによって既存の不公平が定着するリスクが高まっています。

ハイブリッドワークでリーダーシップが高まる

ハブリッドワークは、会社からのルールではなく、状況に応じてテレワークかオフィスワークを使い分ける働き方であり、本人の意志による多様な働き方です。社員の自律性に任せた働き方となるので、主体的に働くことが出来るようになります。一方、それぞれが自分の状況を開示しないと抱え込んでしまうことになります。管理職の立場にとっては、部下を信用しきれない、生産性が下がったような気がして、気になって仕方がない、空席が目立つ全員が揃わない机の島での自分の位置が揺らいでいるようで、なんだかフラット化している景色に居心地の悪さを感じているかもしれません。従業員の立場では、自分から報告とか相談しないと、経過を知ってもらう機会がなく、ますます自己責任でしかなくなります。成果でしか見られなくなると、本当に会社って必要?と思い始める従業員も出てきてしまい、定着率に影響が出る可能性もあります。

 

だったら、どうしたらいいでしょう?管理職の立場も従業員の立場であっても、すぐに相談できる、リーダーだからって部下に、普段から相談できないような関係性であったらうまくいきませんよね。主体性というより、ちょっとハードルを越える積極性も必要です。事務所にいるから、オンラインだからってそれぞれの遠慮をなくすこと、その一歩が主体性につながるのではないでしょうか?それぞれがリーダーシップが発揮できるチャンスともなります。

人は関わることで、主体的になる場が増えていく

よく経営者や管理職の方から「もっと主体性を持ってもらいたい」とお聞きします。そもそも主体性は持ってもらうものでなくって、自然と生まれてくるもの。人は関わること、情報を知ること、そして背景が分かることで課題意識を持ち、主体性が生まれてモチベーションも高まります。近接する対面の場であったような従来の「空気を読む」ということが出来にくくなるので、現実的な声がけ(多くの場合は、最近は文字によるチャットツールですよね)と、声がけがしやすい仕組みづくりがリーダーには求められます。打ち合わせで細かいニュアンスを伝えたいときは対面の人もオンラインの人もすぐに話せる環境をつくっておく、そのためにそれぞれのスケジュールや状態を把握できるような仕組みがあれば、ハードルが下がりそうな気がします。非同期コミュニケーションだからこそ意識する丁寧な表現やリアクションも必要となってきます。

 

ハイブリッドワークでも支援型リーダー

心理的な安心安全な場をつくることがハイブリッドワークにおいても大切です。ある企業は、オンラインもオフィスの人も毎日、短時間話す時間をつくっている、特にない時は5分で終わるし、何かある時は別途打ち合わせ時間をその場で設定することを行っているそうです。別の企業は、朝の挨拶とタスクを毎日チャットで、リモートの人もオフィス勤務の人も同じように全員に送る。またある会社は、ハイブリッドワーク体制になる前は、一応決めていても抜けてしまっていた1on1の実施を、コロナ禍で毎月1回事前にスケジュール化してやるようになったそう。最近は、日報でなく分報という方法をやっている事例も聞きました。

このように、テレワークのルールというより、コミュニケーションがやりやすくなる環境づくりをする能力がリーダーには求められるようになりました。その能力をつける人こそ、部下の支援ができるリーダー(例えば、サーバントリーダーシップ)となるのではないでしょうか?

ハイブリッドワークやテレワーク、たとえ対面で通常業務の会社であっても、ソーシャルディスタンス、パーテーションで物理的な距離が離れ、情報の入りにくさが、加速されています。マスクの影響で表情が見えない、感染リスク回避のための輪番制での出勤、ランチの默食などで、圧倒的にコミュニケーションの量は減っています。

物理的に近いことから発生しやすい会話、意図していない雑談からのアイデアなどにも、価値はあります。対面の場は必要だし、私も好きです。三密があるからこそ生まれるアイデアがあります。一方で、「三密から『三散』」の時代へ」( 作家・五木寛之氏)の言葉もでてきました。「拡散」「分散」「逃散」という表現のように、会社組織の在り方も、組織内外を含んで、分散や拡散を意識しつつ組織戦略を考えていく必要があると思います。さらに、組織を構成する「人」は資源ではなく「資本」という考え方が浸透してきています。そんなことも次回はお伝えしますね。

中小企業診断士 阪本純子

 

自分の持ち味を知っていますか?~持ち味を会社経営に活かす方法~

2022.1.31

新しい年が明けたばかり、、、と思っていたら、もう1月も終わり。時間の流れが年々早く感じられるようになるのは積み重ねた年齢のせいという説を、残念ながら認めざるを得ないかしら?と思っている大山です。
2022年の幕開け、まだまだコロナとの闘いは続いていますが、いいスタートは切れましたか?先行きが不透明なことは多いものの、自身の軸をしっかり持って、前向きに進んでいきたいですね。

先日は大相撲初場所も終わり、優勝した御嶽海関が大関昇進を決めました。長野県出身の力士としては227年ぶりの大関だそうで、地元はとても盛り上がっているようです。
その大関昇進を告げる伝達式での御嶽海関の口上が注目されました。金屏風の前で緊張した力士が四字熟語を使って述べるのが定番だった口上ですが、御嶽海関は飾らない言葉でシンプルに決意を述べました。

「大関の地位を汚さぬよう、感謝の気持ちを大切にし、自分の持ち味を生かし、相撲道にまい進してまいります」

「感謝」は中学の恩師から“感謝の気持ちを忘れないで相撲を取りなさい”と言われていたから。「自分の持ち味」という言葉は、母校の石碑に記された文字から引用したそうです。中学校の石碑には、同じ出羽海部屋出身の立行司、第28代木村庄之助さん(故人)の『自分の持ち味を生かせよ』という言葉が刻まれていたそうで、「絶対にそれを使いたい」と。

この「持ち味」という言葉、辞書によると
「人柄や小説・技芸・美術品などの持つ独特の味わいや良さ」とあります。

二宮尊徳は持ち味のことを「物や人に備わる良さ、取り柄」とし、それを「徳」と名付けました。また、「徳(持ち味)」を活かして社会に役立てていくことを「報徳」と呼びました。この「報徳」の考え方は、トヨタ自動車やパナソニック等、日本を代表する会社の経営のバックボーンにもなっています。
その他にも、各界の人々が「持ち味」について大変示唆に富む語録を残してくれています。

 

松下幸之助(パナソニック創業者)
人間というものは、持ち味(自分の天分)を生かし切るとき、初めて本当の生きがいや幸せというものが味わえる。自分に与えられた持ち味を生かし、自分が責任をもって果たさなければならないつとめ(使命)を自覚し、やり遂げること。これこそが人間としての成功と呼べるものではないでしょうか。人生や人間としての成功を、自分の持ち味を生かすことにあると考え、それを求めていくことによって、不満や悩みの解消に役立ち、個人としての生きる喜びも、社会全体の発展や繁栄も、より高いものになると思います。

本田宗一郎(本田技研工業創業者)
一人ひとりの力は、よその企業と変わりはないが、一人ひとりの得手や持ち味を出し合い、それが一つになって、これだけ伸びてきたと思うんです。人生は“得手に帆あげて”生きるのが最上だと信じている。

安岡正篤(歴代の総理大臣に仕えた思想家・教育者)
全世界にたった一人しかいないあなたに、神様は誰にもないあなただけの持ち味を与えてくださっている。その持ち味を最大限に生かすことで、自分を生かし切ることができ、社会に貢献することができる。

さて、あなたは自分の持ち味を知っていますか?自分の持ち味に気づいていますか?

持ち味は全ての人に備わっています。しかし、自分の持ち味に気がついている人はごくわずかです。多くの人は自ら他人と比べたり、他人から比べられたりして、本当の自分の良さを見失ってしまっているようです。
自分の持ち味を知り発揮することができたなら、人間としての成長の可能性と仕事のチャンスは限りなく広がります。また、持ち味を発揮しているときは、自分らしくイキイキ働くことができ、長期的には自分らしいキャリアを歩むことができます。

当社では、自分の持ち味だけではなく、他人の持ち味も理解し、認め、尊重し合うことを学びながら、社員が主体となって会社の行動指針を作るコンサルティングを行っています。「私たちが決めた、自分事になった行動指針」について、詳しくはこちらをご覧ください。
【組織のコミュニケーションを良くし、人財育成・定着する組織作り】

人財育成

 

中小企業診断士 大山 マリ子