岡原です。
テーマを創業者と後継者としていますが、「これから新しいことを始める経営者にお役に立つ情報を提供する」というコンセプトで書いています。
前回は、「経営の方向性」を考える際の留意点のひとつとして「競争優位性」「マーケットイン発想」「自社の強みの活用」という視点について、お伝えしてきました。
ここ最近は事業再構築という言葉が良く聞かれるようになったり、コロナ後あるいはウィズコロナを見据えて、新たな事業を検討する会社さんが多くなっていると感じています。
今回は、如何に同業他社との違いを出し、競争力を持って事業を行うかを検討する際のベースとなる考え方についてお伝えします。
「モノ」提供業から「価値」提供業へ
皆さんは何業をされていますか?
この質問に対して、大抵は以下のような回答が返ってきます。
「経営コンサルタント業です」
「パン製造業です」
「旅館業です」
「美容業です」
といった感じです。
この回答が一般的な回答なのですが、ちなみに「価値提供業」という視点で、皆さんは何業をされているのですか?
と尋ねられると、どのようにお答えになるでしょうか?
「経営コンサルタント業です」→「社長の不安解消業です」
「パン製造業です」→「朝の楽しみ提供業です」
「旅館業です」→「くつろぎ提供業です」
「美容業です」→「癒しの時間提供業です」
左が「モノ提供業」で答えた場合、右が「価値提供業」で答えた場合のイメージです。
事業を価値提供業で捉えるメリットは何なのか・・・
それは・・・
「同業他社と差別化するための取り組みが考えやすい」ということです。
なぜなら・・・
例えば、美容室を経営している方が、私の美容室は「癒しの時間を提供している」と考えた場合・・・
お客様の入店から退店まで、どのように過ごしてもらったら「癒しの時間」になるのかを考えます。
例えば・・・新規さんが来店されて、カルテに記入してもらっている間は、ハーブティを出して、リラックスしてもらう。とか
店内の音楽はどんな音楽がいいかな・・・とか、カラーの待ち時間に何をしてあげたらいいかな・・・とかを考えるようになります。
一方で、私のお店は美容室と考えていると、(ちょっと極端ですが)技術をどのようにして磨けばいいか・・・だけを考えるわけです。
技術のことは多くの美容室で考えていることで、それで競争しても大きな優位性にはなりません。
それよりも、「どのような価値を提供するか」を考えることの方が、同様他社との差別化になります。
うちの美容室は・・・「癒しの時間提供業」
うちの美容室は・・・「大人のたしなみ力提供業」
うちは・・・「美魔女力サポート業」
これは思い付きで書きましたが、それぞれが異なる価値を提供する美容室になりますよね。
当然、行うサービスも行ってきます。
このように、一度ご自身の事業を「価値提供業」で捉え直すことで、競争優位を築くためのヒントが見えてきやすくなります。
アフターコロナやウィズコロナにおいて、競合との違い・差別化を検討されている方は、是非一度上記の視点で考えてみましょう!
中小企業診断士 岡原 慶高