3月, 2022 | ブログ・コラム

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2022年03月の投稿

創業者・後継者のための経営講座~ウィズコロナ、アフターコロナの経営戦略編④~

2022.3.31

岡原です。

テーマを創業者と後継者としていますが、「これから新しいことを始める経営者にお役に立つ情報を提供する」というコンセプトで書いています。

前回は、「経営の方向性」を考える際の留意点のひとつとして「競争優位性」「マーケットイン発想」「自社の強みの活用」という視点について、お伝えしてきました。

創業者・後継者のための経営講座~ウィズコロナ、アフターコロナの経営戦略編③~

ここ最近は事業再構築という言葉が良く聞かれるようになったり、コロナ後あるいはウィズコロナを見据えて、新たな事業を検討する会社さんが多くなっていると感じています。

今回は、如何に同業他社との違いを出し、競争力を持って事業を行うかを検討する際のベースとなる考え方についてお伝えします。

「モノ」提供業から「価値」提供業へ

皆さんは何業をされていますか?

この質問に対して、大抵は以下のような回答が返ってきます。

「経営コンサルタント業です」
「パン製造業です」
「旅館業です」
「美容業です」

といった感じです。

この回答が一般的な回答なのですが、ちなみに「価値提供業」という視点で、皆さんは何業をされているのですか?

と尋ねられると、どのようにお答えになるでしょうか?

「経営コンサルタント業です」→「社長の不安解消業です」
「パン製造業です」→「朝の楽しみ提供業です」
「旅館業です」→「くつろぎ提供業です」
「美容業です」→「癒しの時間提供業です」

左が「モノ提供業」で答えた場合、右が「価値提供業」で答えた場合のイメージです。

事業を価値提供業で捉えるメリットは何なのか・・・

それは・・・

「同業他社と差別化するための取り組みが考えやすい」ということです。

なぜなら・・・

例えば、美容室を経営している方が、私の美容室は「癒しの時間を提供している」と考えた場合・・・

お客様の入店から退店まで、どのように過ごしてもらったら「癒しの時間」になるのかを考えます。

例えば・・・新規さんが来店されて、カルテに記入してもらっている間は、ハーブティを出して、リラックスしてもらう。とか

店内の音楽はどんな音楽がいいかな・・・とか、カラーの待ち時間に何をしてあげたらいいかな・・・とかを考えるようになります。

一方で、私のお店は美容室と考えていると、(ちょっと極端ですが)技術をどのようにして磨けばいいか・・・だけを考えるわけです。

技術のことは多くの美容室で考えていることで、それで競争しても大きな優位性にはなりません。

それよりも、「どのような価値を提供するか」を考えることの方が、同様他社との差別化になります。

うちの美容室は・・・「癒しの時間提供業」

うちの美容室は・・・「大人のたしなみ力提供業」

うちは・・・「美魔女力サポート業」

これは思い付きで書きましたが、それぞれが異なる価値を提供する美容室になりますよね。

当然、行うサービスも行ってきます。

このように、一度ご自身の事業を「価値提供業」で捉え直すことで、競争優位を築くためのヒントが見えてきやすくなります。

アフターコロナやウィズコロナにおいて、競合との違い・差別化を検討されている方は、是非一度上記の視点で考えてみましょう!

お問い合わせはこちらへ!

中小企業診断士 岡原 慶高

ハイブリッド常態化でのリーダーシップ

2022.3.8

阪本です。特に学びの世界で『ハイブリッド教育』という言葉も使われるようになり、大学や高校でのオンライン+学校で学ぶ「ハイブリッド型授業」も広がり、学びの多様性が広がっています。これって企業でも共通するのではないでしょうか。

浸透してきたあらゆる場所や場面での「ハイブリッド」。その中でも働く場としての「ハイブリッドワーク」での、リーダーシップのあり方について考えてみます。

以前に書いたブログも2年近く前の記事ですが、今でも読んでいただいているようで、読まれていない方はこちらも合わせてお目通しいただけると嬉しいです!

https://accelc.co.jp/blog/withcsoshiki/

コロナ禍をきっかけにして、もともと制度として持っていた大企業やなんとなく仕方なしにやっていた小規模企業の方も(もちろんコロナ前から積極的にリモートワークを当たり前に整えていた事業者さんもいますが)、リモートワーク、テレワークが当たり前に定着してきました。テレワークとオフィス出社を併用するような「ハイブリッドワーク」が常態化してきました。

完全テレワークよりもハイブリッドワークを求める人の方が多いという調査結果があります。(ご参考に・・・)

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/leveling-the-playing-field-in-the-new-hybrid-workplace

  • 現在ナレッジワーカーの過半数(58%)がハイブリッドワークを行っているほか、3 分の 2 が自分の希望する働き方としてハイブリッドモデルを挙げています。
  • すべての従業員体験指標において、ハイブリッドワークとリモートワークの従業員によるスコアがオフィス勤務者のスコアを上回りました。完全オフィス勤務者にとっては、ワークライフバランスと仕事関連のストレスが大きい課題であることも判明しています。
  • 経営層、白人のナレッジワーカー、男性、子供のいない人ではオフィス勤務を選ぶ割合が高いことから、今後の職場では近接性バイアスによって既存の不公平が定着するリスクが高まっています。

ハイブリッドワークでリーダーシップが高まる

ハブリッドワークは、会社からのルールではなく、状況に応じてテレワークかオフィスワークを使い分ける働き方であり、本人の意志による多様な働き方です。社員の自律性に任せた働き方となるので、主体的に働くことが出来るようになります。一方、それぞれが自分の状況を開示しないと抱え込んでしまうことになります。管理職の立場にとっては、部下を信用しきれない、生産性が下がったような気がして、気になって仕方がない、空席が目立つ全員が揃わない机の島での自分の位置が揺らいでいるようで、なんだかフラット化している景色に居心地の悪さを感じているかもしれません。従業員の立場では、自分から報告とか相談しないと、経過を知ってもらう機会がなく、ますます自己責任でしかなくなります。成果でしか見られなくなると、本当に会社って必要?と思い始める従業員も出てきてしまい、定着率に影響が出る可能性もあります。

 

だったら、どうしたらいいでしょう?管理職の立場も従業員の立場であっても、すぐに相談できる、リーダーだからって部下に、普段から相談できないような関係性であったらうまくいきませんよね。主体性というより、ちょっとハードルを越える積極性も必要です。事務所にいるから、オンラインだからってそれぞれの遠慮をなくすこと、その一歩が主体性につながるのではないでしょうか?それぞれがリーダーシップが発揮できるチャンスともなります。

人は関わることで、主体的になる場が増えていく

よく経営者や管理職の方から「もっと主体性を持ってもらいたい」とお聞きします。そもそも主体性は持ってもらうものでなくって、自然と生まれてくるもの。人は関わること、情報を知ること、そして背景が分かることで課題意識を持ち、主体性が生まれてモチベーションも高まります。近接する対面の場であったような従来の「空気を読む」ということが出来にくくなるので、現実的な声がけ(多くの場合は、最近は文字によるチャットツールですよね)と、声がけがしやすい仕組みづくりがリーダーには求められます。打ち合わせで細かいニュアンスを伝えたいときは対面の人もオンラインの人もすぐに話せる環境をつくっておく、そのためにそれぞれのスケジュールや状態を把握できるような仕組みがあれば、ハードルが下がりそうな気がします。非同期コミュニケーションだからこそ意識する丁寧な表現やリアクションも必要となってきます。

 

ハイブリッドワークでも支援型リーダー

心理的な安心安全な場をつくることがハイブリッドワークにおいても大切です。ある企業は、オンラインもオフィスの人も毎日、短時間話す時間をつくっている、特にない時は5分で終わるし、何かある時は別途打ち合わせ時間をその場で設定することを行っているそうです。別の企業は、朝の挨拶とタスクを毎日チャットで、リモートの人もオフィス勤務の人も同じように全員に送る。またある会社は、ハイブリッドワーク体制になる前は、一応決めていても抜けてしまっていた1on1の実施を、コロナ禍で毎月1回事前にスケジュール化してやるようになったそう。最近は、日報でなく分報という方法をやっている事例も聞きました。

このように、テレワークのルールというより、コミュニケーションがやりやすくなる環境づくりをする能力がリーダーには求められるようになりました。その能力をつける人こそ、部下の支援ができるリーダー(例えば、サーバントリーダーシップ)となるのではないでしょうか?

ハイブリッドワークやテレワーク、たとえ対面で通常業務の会社であっても、ソーシャルディスタンス、パーテーションで物理的な距離が離れ、情報の入りにくさが、加速されています。マスクの影響で表情が見えない、感染リスク回避のための輪番制での出勤、ランチの默食などで、圧倒的にコミュニケーションの量は減っています。

物理的に近いことから発生しやすい会話、意図していない雑談からのアイデアなどにも、価値はあります。対面の場は必要だし、私も好きです。三密があるからこそ生まれるアイデアがあります。一方で、「三密から『三散』」の時代へ」( 作家・五木寛之氏)の言葉もでてきました。「拡散」「分散」「逃散」という表現のように、会社組織の在り方も、組織内外を含んで、分散や拡散を意識しつつ組織戦略を考えていく必要があると思います。さらに、組織を構成する「人」は資源ではなく「資本」という考え方が浸透してきています。そんなことも次回はお伝えしますね。

中小企業診断士 阪本純子