生成AIの認知度は2023年に急速に高まっていますが、まだ業務で十分に活用できていない中小企業経営者の方は多いのが現状です。一方で、生成AIの技術は急速に進化しているため、これまでの「生成AIを使う」から「生成AIを選ぶ」へという時代にすでに変わりつつあります。これからの時代、適切なAIを選択することが企業の成功に直結するため、今回はその「生成AIを選ぶ」について紹介します。
文章作成ならClaude3を使おう!
Claude3とは2024年3月にAnthropic社が発表した大規模言語モデル(LLM)です。ChatGPTと同様に人間のような自然な文章を生成できます。Claude3は、文章生成において特に優れているため、メール作成などの日常業務ではもちろん、ビジネス文書や論文、書籍作成など、より専門的で洗練された内容が求められる場合も適しています。
Claude3は文章作成においてChatGPTより優れている
Claude3 Opus | ChatGPT-4 Turbo | |
性能(それぞれとの比較) | 推論において高性能 | 数学・言語理解・テキスト生成において高性能 |
用途 | 文章作成 | 高い汎用性 |
プロンプト処理量 | 20万トークン | 3.2万トークン |
画像生成 | 不可 | 可 |
料金 | 20米ドル/月 | 20米ドル/月 |
上記の表はClaude3とChatGPTとの違いをまとめたものです。性能は推論のテストにおいてはClaude3 Opus が高性能だったのですが、そのほかの点においてはChatGPT-4 Turboの方がClaude3 Opusよりも高性能という結果になっています。そのため、性能や用途においてはChatGPTの方がはるかに優れています。しかし、Claude3は文章の自然さや文体のバリエーションに特化していることから文章作成においてはChatGPTより高性能であり、著名な方など多くの人から評価されています。
これは、学習しているデータに違いがあると言われています。ChatGPTは膨大なWebデータを主に学習しているため汎用性が高くなっています。一方、Claude3は高品質の書籍や論文を主に学習しているため、ChatGPTよりも質の高い文章を作成します。また、プロンプト処理量がChatGPTに比べて約6倍であり、長文を記憶できるため、長い文章の校正にも使用できます。
生成AIを選ぶ時代に突入
2023年はChatGPTを導入すること自体が一つの大きなステップでした。しかし、2024年以降は、類似した機能を持つ複数の生成AIの中から最適なAIモデルを選ぶ時代へと移行していきます。Claude3の例のように、より良い文章を生成してほしい時は、汎用性の高いChatGPTではなくClaude3を選択する方がよいということが分かります。
今後はそれぞれの企業に合った最適なAIモデルを選ぶことができないと、効率性だけでなく品質の向上についても競争力を失うことになります。
生成AIの進化に伴い、中小企業経営者はただ生成AIを導入するだけでなく、目的や用途に応じて最適なAIモデルを選ぶ必要があります。Claude3のように特定の用途に特化したモデルが登場することで、飛躍的に生産性を向上させられる可能性があります。最適な生成AIモデルを選び、企業はその可能性を最大限に引き出して、競争力を高めましょう。
経営コンサルタント
平田 紘基