2023年3月、OpenAI社がChatGPT-4公開をきっかけに発生した生成AIブーム約2年経過しますが、生成AIの技術はさらに大きく進歩しています。昨年は、文章作成を得意とするClaudeやChatGPTでは業務効率化できない各業務に特化した生成AIなどが様々な生成AIが登場しました。この記事では今年、生成AIがどのように進歩していくと予想されているか紹介します。
AIエージェント
AIエージェントとは、目標達成のために最適な手段を自律的に選択してタスクを遂行するAI技術のことです。一般的なチャット形式のLLMは、質問等を投げかけると会話として返事をするだけです。しかし、AIエージェントは、目的を達成するまで自ら思考して回答を導くことができます。そのため、複雑思考を必要とする問題や数理的思考を必要とする問題を解決するには適したモデルとなります。(ChatGPTの場合は、o1・o3のモデルのことを指します)
PC上の操作だけであれば、ベータ版ではありますが、すでにリリースされています。それが以下の動画です。
この動画は、PC上で会社情報を入力する動画ですが、その動作を完結するまで生成AIが自動で実行しています。まずは、エクセルリストに当該の会社があるか検索し、なければ、別のリストから当該会社の情報を検索しています。当該の会社情報が見つかれば必要な情報を必要な場所に転記しています。この程度のPC上の作業であれば、自動化することができます。
最適なLLMの選択
冒頭でもお伝えしたように、2025年1月末現在で様々な企業から様々なモデルのLLMが公開・販売されています。今後はさらに多くのLLMが登場すると考えられるため、ユーザー自身が用途や目的に応じたLLMの使用が重要になります。
- 機能面での選択
生成AIブームのきっかけとなったChatGPT-4と比較してどのような特徴があるか紹介します。
①ChatGPT-o1:推論能力が高く、数理的思考ができます。また、AIエージェントのように複数のステップを踏んで思考ができます。
②Claude:文章作成能力は高く、また、記憶できるトークン数は多いため、長文への対応力に優れています。
③Gemini:Google系のアプリとの連携が容易であり、最高性能のモデルであれば、o1やClaudeと同等の能力があります。
- 低価格での選択
2025年1月末、中国の企業がDeepseekというLLMを発表しました。執筆時点では詳細が分からない部分が多いですが、o1と同等の知能を持っているにも関わらず、Web版ではオープンソースで提供されていることから世界中に大きな衝撃を与えました。また、APIはChatGPTの1/10以下で利用できます。今後は生成AIの価格競争が起こるのではないかと考えられています。
資金力に乏しい中小企業は、低価格で高性能のLLMを利用できることから新たなビジネスチャンスの獲得や生産性向上に寄与すると考えられます。
機能面と価格面を考慮した上で、自社の課題に適したLLMの導入、究極的には仕事ごとや各個人の相性に合っているLLMの導入が不可欠になってくると私は考えています。
2025年も生成AIは大きな変革を遂げる1年になると考えられています。社内の業務効率化には引き続き生成AIが必要で、その差がさらに大きくなる1年とも言えます。積極的に最新の生成AIを社内に取り込み、業務効率化で競合他社との差別化を図りましょう。
経営コンサルタント
平田 紘基