秋になると、大人の学びも盛んになるようで、オンラインセミナーがますます溢れているような気がします。リカレント教育、リスキリングなどといった社会人の学び直しニーズが高まっている中、コロナ禍によるオンライン選択の幅が広がりました。「大人の学び」市場は大きく拡大しているようです。
リスキリングについてはこちらに書いています
リンク先:ビジネスモデル再構築と組織開発 その①
リーダーシップに関して、企業からの要望も度々あります。管理職層にもっと成長してもらいたい、もっと会社全体のことを考えてほしい、部下を育成する力をつけてほしいなどなど。そこは、スポットの研修で解決できるものではなく、やはり社内外の継続的な取り組みとしての社内の環境づくりが大切で、経営者がまずは率先してつくっていく必要があります。ここはボトムアップを待っておくのではなく、トップダウンが必要な部分でしょう。
前回「関係性の質」そしてサーバントリーダーシップについてお伝えしました。
リンク先:「関係性の質」を高める「サーバントリーダーシップ」
ここから本題、今回はリーダーとして、リーダーシップをもつ人材を増やしていくためにも必要な考え方を紹介します。(すでに知っている方は復習を兼ねてご覧くださいね) これ、実は私が子どもの発達過程を勉強している中で出会ったのですが、一般的みたいですね。
【成人発達理論】
人間の意識の成長・発達は「主体から客体へ移行する連続的なプロセス」 意識が成長するほど客体化できる能力が高まり、認識できる世界が広がる、次の意識段階に移行できてこれまでの意識段階を客観視できるということになります。
※成人発達理論は10年ほど前から注目され始めました。ロバート・キーガンは『なぜ人と組織は変われないのか(英治出版,2014)』の中で、リーダーの発達段階が高度になればなるほど問題解決能力は高まり、より優れたリーダーになることができると述べています。
すこし紹介すると、「知性の発達段階」として「3段階」を提示しています。
①環境順応型知性⇒②自己主導型知性⇒③自己変容型知性
③の段階になると
「自己変容型知性」の段階になると、周囲からの情報や自分の価値観に対して「頑な」ではなく、「しなやか」に対応します。周りからの情報が自分の価値観をバージョンアップさせてくれると考えているので、「聴き入れる」スタンスをとります。
そんな日ごろからの「聴き入れる」姿勢を周囲の人はわかっているので、「あの人は聞いてくれる人だ」という評価が定着していて、良い情報も悪い情報も自然と入ってきやすくなります。その結果、優れたリーダーシップを発揮できるのです。
私自身は③になりたいと思いながらも②で止まってしまっている場合もあります。それはなぜか?固定観念が邪魔してしまうんですよね。変化することへの抵抗というより、もっと奥の気づいていない利己的な部分とか、恐れていることとか・・・このあたりも心理学に入ってしまうので今回は深追いせずに・・・。(嫌われたくない、弱みを見せれない、他人に嫌な思いをさせないなどなど・・・)
詳細は、「成人発達理論」で検索してみたり、もっと知りたい方は関連書籍を読んでみてください。
プレイヤーとして優秀だけどマネージャーとしてはまだまだ・・というようなお話をよく聞きます。この成人発達理論と合わせると、発達段階をあげていく働きかけが必要となりますが、発達段階をあげるということが必ずしも良いわけでもないのでは?という疑問もあります。周囲との関係性、その人自身の特性=持ち味を周りが受容すること、周囲が発達することでよりよい関係性が出来てくるという可能性もあり、それが個人と個人の関係性の変化で自律的な組織へ成長している段階とも捉えることもできるのではないかということを思いめぐらせています。
成人発達理論における成長段階を知って「スキル」として身に着けるということは「組織が磨かれるリーダーシップ」の1つだと思います。
「人は一生かけて成長していく、生涯をかけて成長していく」
今まで以上に幅広い年代(少子高齢社会の中、シニア活用も必要とされて久しくなります)や、様々な価値観や考え方や特性をもつ人材を活用していくことで経営がより持続的に発展できることを考えていくことと同時に、自身やメンバーの発達についての知識はリーダーには必須のこととなってきています。
次回はもっと具体的に、組織としての「関係性の質」と組織の発達についてもお伝えしていこうと思います。
中小企業診断士 阪本純子
※メンバーの「持ち味」を尊重し、社員が主体となって会社の行動指針を作るコンサルティングを行っています。「私たちが決めた、自分事になった行動指針」について、詳しくはこちらをご覧ください。