5月, 2022 | ブログ・コラム

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2022年05月の投稿

組織が磨かれるリーダーシップ④~人的資本経営とシェアド・リーダーシップ~

2022.5.9

阪本です。

学校行事も再開、制限はありつつも対面の機会が戻ってきました。一方、コロナ禍で始まったオンラインでの朝活も継続しています。

前回「人は関わることで、主体的になる場が増えていく」と書きましたが、複数の組織、コミュニティに関わることで、自分事となる課題は増えていくことを、ますます実感する毎日です。日々のお客様との出会いに感謝しています。そして、その関わる組織で、自己理解と他者理解を積極的に進めていけば、「自分事」「主体性」って発揮できることを身をもって感じています。さて、今回も引き続き人と組織に関するリーダーシップについて考えてみました。

前回のブログ:https://accelc.co.jp/blog/soshiki7/

人的資源を「管理する」はもう古い、人的資本による価値創造へ

経営資源の基本は、古典的ですが、基本として人・モノ・カネ・情報といわれます。会社の経営計画策定のフレームワークとしてよく使われますよね。そして近年、目立ってきた「人的資本経営」として考えてみましょう。「資源」ではなく「資本」と言われるのはなぜでしょう?上場企業だけでなく、小さな会社でも今後のありたい姿を考えるうえで重要なことです。

【経営資源】

企業が経営を行う上で利用できる有形あるいは無形の資源。人的資源・物的資源・資金力・情報・商標・信用などの総体をいう。

 

経営資源のうち人的資源は、特殊なものです。会社が自由にコントロールできませんし、感情や状態によって変化するものです。資源は、企業が付加価値を生み出すために必要なものです。特に最近は人的資源を充実させるために人材戦略としてリスキリングやリカレントの重要性があちらこちらで話題になるようになりました。とはいいつつ、HRMという言葉に現われているように「人的資源管理」、人は管理の領域であり、人材育成費用として捉えられていました。

それが、近年は人的資本=ヒューマンキャピタルとして、「管理」ではなく。価値創造できるものであり、人材育成が「費用」ではなく「投資」として捉えられるようになっています。人々の価値観や働き方が多様化し、様々な考え方や背景を持つ人が個々を磨いて、それを組織の力として活かしていかなければ事業継続ができない状態になってきたからともいえます。

多様な働き方ができないと人は定着しませんし、少子高齢化で将来にも不安がある世の中です。人生100年時代、より長く働く時代に突入しています。人的資本を可視化するために企業は賃金や離職率といった分かりやすい数値的なことだけではなく、エンゲージメントや従業員満足度、従業員の育成への投資など定性的なものを分かりやすく見える化して公開していくことになってきています。それらが会社を評価するための指標となり、求職者だけでなく顧客も企業を選ぶ基準になってきています。

【人的資本】

一般に、人的資本は個人の持って生まれた才能や能力と、教育や訓練を通じて身につける技能や知識を合わせたものとして幅広く定義される。(時には健康も含まれる。)ただし、人的資本の概念を熱狂的に受け入れている実業界ではこれをもっと狭く定義する傾向があり、主に企業や特定産業の成功に直接的に係わる労働力の技能や能力と見なされている。(経済協力開発機構(OECD)の定義)

人的資本経営で有効なシェアド・リーダーシップ

人的資本経営では、共感や対話を通じて「個の力」を「組織の力」へ高めていくことが欠かせません。経営者はもちろん、経営に近い立場にある役職者にも当然必須な能力となります。旧来型のリーダーシップである経営の方向を示して、価値観を揃えて数字を掲げて部下を率いる「自分についてこい」タイプ、いわゆるカリスマタイプ、ワンマンタイプといった支配型のリーダーシップは時代遅れであることは誰もが感じています。

以前こちらで書いた組織を支える「サーバントリーダーシップ」はまさに大切なリーダーシップの概念ですよね。今回は、加えて「シェアド・リーダーシップ」についてもご紹介します。「シェアド・リーダーシップ」とは「チームメンバー全員でリーダーシップを発揮する」ということです。人的資本経営への注目と合わせて見直されているリーダーシップの概念です。

組織表上の管理職や役職者だけでなく、全員がリーダーシップを持って活躍できる組織ってどうやったらつくれるのでしょうか?新しくつくった組織であれば、ひとりひとりがそういった意識を持てるのでしょうが、元々支配型のリーダーシップやヒエラルキーな組織として継続している企業であれば、「メンバーから自発的に」ということを説いても、つくっていくことができません、リーダーシップを発揮する環境づくりを率先してできるのは、現状の多くの中小企業の組織であれば、経営層でしかないのです。

その環境づくりの第一歩は、経営層が、課題や問題と感じていることを常に見えるようにしておく、情報を公開していないと巻き込めません。全体感を把握できるような仕組みを作っておくことです。全体感を把握できず部分的な一部分の仕事しか見えないと、メンバーにリーダーシップを発揮できる場がありません。

その上で、活発なコミュニケーションができる土壌のもと信頼関係が培われている状態をつくっていくことで、安心して自発的に行動できるようになっていきます。そのためにも、役職としてのリーダーはもちろんメンバーそれぞれの強みや弱みを把握していること、自己理解と他者理解ができていること、全員が積極的にお互いのことに関心を持っていることが必要となります。

~まとめ~

シェアード・リーダーシップを発揮できるような環境は、①活発なコミュニケーションがある②お互いの自己理解・他者理解が進んでいる③目標と情報が共有されていて情報の偏りがないという、環境です。その環境をつくっていくことで、結果として成果を生み出す組織、生産性の向上が期待できます。

関連するサーバント・リーダーシップについては、以前のコラムもご覧ください。

組織が磨かれるリーダーシップ①~関係性の質とリーダーシップ~

https://accelc.co.jp/blog/soshiki4/

人的資本経営については経済産業省の検討会資料も大変参考になります。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinteki_shihon/pdf/009_02_00.pdf

中小企業診断士 阪本純子

※メンバーの「自己理解・他者理解」を促進し、社員が主体性を引き出す環境をつくるコンサルティングを行っています。「私たちが決めた、自分事になった行動指針」について、詳しくはこちらをご覧ください。