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リーダーに必要な自己内多様性〜組織力を高めるために〜

2023.7.13

阪本です。今回は 前回も少し触れた多様性とリーダー、チームワークとの関係性について考えてみました。

※「自己内多様性」
※「イントラパーソナル・ダイバーシティ(Intrapersonal Diversity)」とは、一人ひとりの中に多様な視点や役割を持つこと。日本語では「個人内多様性」などと呼ばれています。組織におけるダイバーシティというと、多様な属性・経験を持つ人を採用することで実現できる「人材の多様化」を指します。一方、近年はイノベーションを創出する観点から「個人内の多様化」が注目されています。役割を一つだけ担っている人と、複数の役割を担い役割間の対立による葛藤を経験している人とでは、個人の中の「知の組み合わせ」の数に差があり、後者の人材のほうがイノベーションを起こしやすいと言われています。出所:「日本の人事部」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1566/

先月、小学5年生の息子の授業参観があり、授業は「LGBTQ+」についてのこと。私自身にとっても学びとなるものでした。子どもたちは、SDGsや気候変動について、大人以上の知識や関心を持っています。個人の尊重や個性の認め合いは当然のことであり、持続可能な社会を築くためにも重要な学びの項目として学校の教育の中にも入っています。授業の進め方も対話型が多いようです。例えば、図工であれば、自分以外のクラスの仲間の作品を見て、すごいと思ったことなどの一言感想を付箋に書いていくといったワークも取り入れられています。そして、昨日知った夏休みの宿題は、「ユニバーサルデザイン」や「バリアフリー」について調べることだそうで、私の時代にはなかったような内容であることも少し驚きました。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

さて、大人の世界の話。「多様な人材が活躍できる組織をつくる」という考え方は、人材不足の問題が起きる前から存在していました。調べてみると、海外では1970年代以降、国内では1990年代以降、企業や組織がダイバーシティ&インクルージョン(D&I)経営を重視するようになったといわれているようです。D&Iは企業の競争力や「サステナビリティ」といった考え方において重要な要素となっています。平等性、公平な機会や待遇が企業の雇用の姿勢として求められています。特に大企業では、D&Iに取り組むために女性活躍推進、介護や育児との両立支援、シニアの活躍促進、障がい者の雇用などの人事施策としても実施されていることで、いい会社としてのPRにも活用されています。

ただし、ダイバーシティの意味をもっと広く深く(これを「深層的ダイバーシティ」というそう)、一人一人の個が違っているという前提で「多様な個を活かす経営」が実現されることがD&Iの本質です。 特に人材に限りある少人数の小さな組織、中小企業においては、これが重要な要素となります。当然 「多様性」を重視し、様々な能力やバックグラウンドを持つ人材がいる組織では、バラバラでうまくいかないのです。

自己内多様性とチームワーク

従来のチームは同質性が効率的であるとされ、協調性が重視されていました。しかし、今では年齢や経験だけでなく、価値観においても「多様性」が当たり前になりました。多様な個を活かす組織を実現するためには、経営層やリーダーが「自己内多様性」や「個の中の多様性」を意識して磨くことが重要です。組織内では、部門横断的な経験や異なる立場を経験することによって、見えていなかった側面が見えるはずです。リーダー自身が「自己内多様性」を持ち、経験やスキルの多様性を磨くこと、会社外での経験やリスキリングを肯定的にとらえ、社内でもそれを自己開示し、積極的に取り組む後押しをできる環境を整えることが必要です。

自己内多様性を高めることで、受容力や創造性も高まり、相手と自分のバックグラウンドが異なることを前提として、よりわかりやすい意思伝達や丁寧なコミュニケーションが実現できるようになります。いわゆる「他者視点」(心理学的には「認知的共感」)が生まれ、時には創造的な摩擦が起こることもあります。これによって、多様性を持つチームのマネジメント力がつき、チームワークを仕掛けることができるリーダーとなっていくことがみえますよね。さらに「承認力」の醸成にも通じるものとなります。

さて、わが社を見てみると、代表含め4人のメンバーは多様性にあふれていると思います(笑)個の中の多様性も磨かれているようです。社内で実践していることといえば、全体ミーティングのチェックイン時の話や、ランチの時間がお互いの多様性を感じられる場となっていること、そこが信頼関係の構築につながりチームワークが自然と醸成できていっているんじゃないかなと感じています。会社は数人いればチームですし、社内外問わず、対人間との関係性で進める仕事が多いと思います。その中で、認知的共感、他者視点が必要なことを改めて書いていて気づきました。そのためにも「自己内多様性」について意識して、あえて「脱マイパターン」な行動するようにすれば、そういった能力も高めていくことができそうです。

是非、自身の一週間の行動を振り返って「自己内多様性」が高まっているか考えてみてくださいね。遊びも仕事のうちという自己肯定感を高めることになるかもしれませんが、ほどほどに(笑)

リーダーとしては、他者視点をもってメンバーそれぞれの活躍を後押しする気持ちが持てるようになってくるといいチームワークが作れそうじゃありませんか?

(参考)【改訂版】ダイバーシティ経営診断シートの手引き多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~2021年3月:経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/turutebiki.pdf

「ダイバーシティ経営」は、社員の多様性を高めること自体が目的ではありません。また、福利厚生やCSR(企業の社会的責任)の観点のみを直接的な目的とするものでもありません。経営戦略を実現するうえで不可欠である多様な人材を確保し、そうした多様な人材が意欲的に仕事に取り組める組織風土や働き方の仕組みを整備することを通じて、適材適所を実現し、その能力を最大限発揮させることにより「経営上の成果」につなげることを目的としています。出所【改訂版】ダイバーシティ経営診断シートの手引き多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~2021年3月:経済産業省

 

『インクルージョン』とは、一人ひとりが「職場で尊重されたメンバーとして扱われている」と認識している状態を指します。そのためには、職場メンバーの一員として認められることと、その人の持つ独自の価値が組織に認められていることが必要です。しかし現実には、必ずしもそうなっていないケースが多くあります。たとえば外国籍の社員に対して「海外市場への進出」に際して言語や文化的側面でだけアドバイスを求め、その他の重要事項は日本人の社員だけで決めてしまう場合は「分化」の状態を創り出してしまう可能性があります。逆に、シニア社員が「昔の経験を語ると社内で疎まれる」と考えて有益な知識の共有を控えるような場合は「同化」の状態を作り出している可能性があります。多様な人材が、それぞれ自分の「居場所」を実感できている状態が「インクルージョン」であると言えます。出所:令和2年度ダイバーシティ経営普及・定着手法開発等事業検討委員会 森永雄太委員(武蔵大学教授)

 

中小企業診断士 阪本純子

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