コラム:組織づくり | ブログ・コラム - パート 2

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カテゴリ:コラム:組織づくり

よりよい職場を考える~自営型雇用システムって何?~

2023.11.7

阪本です。この秋開講の京都府主催の全6回の「職場づくり元気塾」に塾長として関わっています。そして、塾全体の監修・顧問として関わっていただいているのが同志社大学の太田肇先生。太田先生は、これまでも紹介している「承認力向上研修」で使っている「承認カード」や会社でも日々使っている「承認カレンダー」の監修もしていただいています。

この元気塾、より良い職場をつくっていくために、視野を広げ、視点を増やし、そして視座を上げていくようなプログラム。参加企業である20社の経営者や人事担当者とお話しして運営側も元気をいただいています。そんな中で、気づいたことも含めて何度かに分けてご紹介したいと思います。

阪本が、前職で採用や人事業務をしている時から著書を読ませてもらい、学ばせていただいた太田先生。人事部関連のイベントで、組織について、チームワークについての講演を聞いたり本を読んだりしていました。そんなことからも、誰もが活躍できる社会をつくりたいという私の思いの原点にもなっていて勝手にファンです。ご紹介したい内容を私なりにまとめて皆様にお伝えしますね。

 

二項対立を超えた組織理論としての自営型雇用システム

早速ですが、二項対立ってどういうイメージでしょうか?以下のような図、わかりやすいですよね。

教育の場でも親しんできた対比させる表の見せ方、組織課題におけるボトムアップ型対トップダウン型、ヒエラルキー型対ホラクラシー型とか、経営者対従業員などの対比させる見せ方がありますよね。本来は対立するものではないのに、対立させて考える方が分かりやすいからそうなってしまいがちです。「正しいこと」として明確にした方が楽だし、マネジメントしやすいかもしれません。でも、明確にせずに融合や統合で考えていくことができないと、今後の状況変化に適応できなくなってしまわないでしょうか。

そして、コロナ禍でリモートワークが浸透する中よく言われるようになったのが、上記の例であげた表。日本型雇用は「メンバーシップ型」、欧米型の雇用は「ジョブ型」と、聞くようになった言葉です。CMでも「リスキリング時代のジョブ型雇用」が連呼されていて、なんとなくそんな時代、ジョブ型雇用が増えていくようなイメージを刷り込まれていたりします。楽天やソフトバンクなどは既にジョブ型雇用を取り入れています。でも、小さな組織を構成するメンバー同士がそれぞれジョブ型だったらどうなんでしょう。エンゲージメントを高めることにつながるのでしょうか。本当に「ジョブ型」となっていくのか、それで人が成長できるのかは疑問です。

そんなことを思っていた時に太田先生のお話であった「ジョブ型」の起源から・・・ジョブ型自体は産業革命時から、メンバーシップ型より実は古い概念だそうです。歯車のようにピラミッド型で管理される組織で有効に機能する役割分担であり、今の時代には即さないものになってしまっているのではという指摘。特に解雇規制のある日本ではそもそも難しいやり方となっています。個人の職務が決められている故の「スキマ」が生まれ、人と人のつながりが弱くなったり分断されてしまうこと、それがメンバーシップ型との大きな違いです。 そこで、太田先生が提唱されているのが「自営型雇用」。言葉のイメージからは、表面的には業務委託やフリーランスの活用と見られてしまうかもしれませんが、「雇用」とついているのは会社組織として考えているからです。太田先生の研究からこう表現しているだけで、すでにその考え方で人を活かす組織になっているところもあるようです。例えば多能工化している、社員をコントロール下におかず、共同体型組織を脱して組織の一人一人が生き生きと働けるようになってきたという会社もあります。制度化されていなくても特に中小企業では当たり前に、個々が裁量権をもって自営型のように、あるいはプロジェクトとして、メンバーの個性を生かしている場合も自営型と言えそうです。自営型においては、社内教育の在り方も変わります。これまでの階層別研修として与えるのではなく、個人が希望するキャリアの能力を開発するためにサポートするという姿勢で教育していくことになります。

組織は、個人でやれないことを協働する場、働く場としてのコミュニティ

DX化、さらにAIの活用により今後は会社の規模は組織の人数規模では図れなくなってくるでしょう。効率性、生産性を追求するために組織をつくるのではなく、やりがいのある仕事を提供する場としての職場が当たり前になってきそうです。例えば、元気塾のゲストスピーカーである㈱アグティさんの経営理念は「会社は働く人のためにある」。そのために事業があり、社会にお役立ちできる働く場を提供しているだけということをシンプルに掲げられています。そんな組織を太田先生は「インフラ型組織」と表現されています。これまでのメンバーシップ型の組織では、組織の構成員は「組織人格」で行動しているけど、インフラ型組織では個人が主体的に自律して働く場で活躍して価値を出すということになります。

そうすると、チームワークは下がるのではないでしょうか?という疑問も出てきました。個人主義になるのでは?という質問もありました。実際は、よりチームワークが発揮できるのだそうです。「メンバーシップ型はブロック塀のような組織、自営型は石垣のような組織のイメージ」と例えられていて、イメージわきますよね。お互いに強みを補い合いながら、それぞれの器や力量で力を発揮し支え合うことができるということです。そのためにはお互いのことを知っている、目標やあるべき姿は共有できているという前提が必要となりますよね。

高度な評価制度よりも「透明性」「オープン」「相互承認」「フラット」

「人間関係」がほぼ離職の原因であることが多いです。表面的には、給与が低いとか評価されていないという離職理由もありますが、その根本は「関係性」です。職場の人間関係や悪くなるのは、漫然と働き続けるとエンゲージメントが下がっているからだそう。「人知れず苦労させられているとエンゲージメントは低下する」「細かく評価制度をつくるより、成果を社内外に見える仕組みが大切」なるほどです。認められていないと思うと不満が出て不安にもなります。ただただ、働かされていると思ってしまう仕事、仕事の意義を感じない、生活のために働いているという意識だとエンゲージメントなんて遠い話ですよね。

まずは認め合えることから、私たちはそれぞれの持ち味を知りながら、更に承認し合える関係性をつくる組織の土壌づくりの面でもご支援したいと思っています。

中小企業診断士 阪本 純子

続く社会をつくる組織の意義ってなんだろう〜幸福を考える〜

2023.9.12

阪本です。先日の日曜日、株式会社宮田運輸さんがたくさんの協賛企業とともにに実施された「こどもミュージアムフェスタ」に行ってきました。ラッピングされたトラックの展示のほか、たくさんのスポンサー企業のブースがあり、子どもたちを楽しませる企画が盛りだくさん。うちの息子たちは、左官体験とパッカー車のかぶりものの色塗りに精を出していました。協賛企業とたくさんのボランティアの皆さんで運営されているあたたかな優しさあふれる空間で楽しませてもらいました。

主催する「こどもミュージアムプロジェクト」は、10年前の2013年8月に宮田運輸が起こした交通死亡事故をきっかけに生まれた取り組みです。こどもたちが描いた絵をトラックにラッピングすることで、トラックをより心温まるものに、やさしい気持ちにすることにつなげて交通事故もつなげていく取り組みをされています。その取り組みで事故が4割減少したそうです。そして1年に1回、今回のようなイベントを開催されています。

当社のブログでも今年の2月に大山が詳しくは書いていますので、ブログも合わせてごらんください。

https://accelc.co.jp/blog/aikotoba/

宮田社長のお話は先々週にお聞きする機会があり、2020年に初めてお聞きしてから4回目でしたが、毎年どんどん進化されていて学びがありましたのでここでもご参考になればと思い紹介します。毎年進化し続けられていること、日々の活動から続く社会をつくっていく思いが反映されている意義ある事業としていることに都度感銘を受けています。

社会の利益になっている実感から幸福感が生まれる

SDGsに貢献できること、社会課題解決のためのビジネス、IT系のスタートアップなどが注目されがちですが、運送業は世の中で必須であって当たり前の仕事、だからこそ社会の中の立ち位置を見据えないと、そこに従事する意義を見出せなくなってしまいます。組織の土壌を常に意識して整えていく必要性ますます感じます。きちんと届いて当たり前、あらためて感謝されることもない仕事って私たちが生活する中で常に支えてもらっているのに、気にしないことが多いのではないでしょうか。そこで働く人に感謝するってわざわざ口に出さないし、当たり前になっている。未来につながっている実感が持ちにくい仕事だからこそ、組織で働く意義を感じられないとモチベーションは高まりません。

 

㈱寝屋川興業さんのブースで被り物パッカー車の色塗り

一丸となる必要も、ベクトルを合わせる必要もない

過去には会社のために売上利益を達成しよう!というようなスローガン、ベクトルを合わせてとか、一丸となって達成しよう!というような会社組織が当たり前だったかもしれません。私が以前働いていた会社も「ベクトルを合わせる」という事業部長からの話が毎月の会議であったことを思い出します。宮田社長は一丸となる必要はない、一人一人は違うもの、会社のために、誰が頑張りますか?それぞれ違う個性を持っているしそれを合わせようとするのは会社の都合ですよと。会社は続く社会をつくるための手段なんです。人が誰でも持っているやさしい気持ち、助けようという良心を発揮しやすい場を作ればチームワークは自然と生まれるものになっていく、助け合える関係性がつくられていくんですね。社会課題を生まない心をつくることが必要じゃないですかと。

社外に開かれた認め合える場

毎月、会社の中だけではなく社外にも開かれた「みらい会議」をやられています。勤務時間ではなく日曜日に開催され、社員の家族も参加されています。会社を開いていく活動の一つです。会社の中だけで考えるのではなく、社会の中でつながっている実感を持つこと、そのために自社の社員が社外の目に触れられる場となっていることに意味があります。各事業部の月次損益が社内外の参加者に配布され、社外の方も持って帰ります。数字について会議の場でつめるわけでなく、それを事業所ごとにつくる過程を大切にしています。それを役職者じゃない社員が発表することをやられています。そこが認め合える場になっているそうです。社長は事前に目を通しておき、発表ごとに「美点凝視」でコメントしているそうです。貴重な認め合える場として組織が大きくなっても機能しているなと思います。そんな開かれた会社だからこそだからか、親子で働かれている社員が28組もおられるそうです。

やさしい気持ちが未来をつくる

監視されるのではなく、良心に従うことを信じる、そのために教育も行われています。なぜこどもの絵なのか?ということについては、誰でも昔はこどもだった、経験のあることだから、本来の自分に帰る、生まれながらに持っている良心を取り戻す、こどもたちを感じることで未来を感じることができるということです。

普通、出庫のトラックの出入り口には「止まれ」っていう文字が書いてあるはずなのですが、宮田運輸の今回富岡町につくった物流センターでは「止まる」なんだそうです。ここも良心に従うということを信じていることの現れですね。

当社は「幸せ創造企業の創造」を掲げています。幸福を感じる会社をつくる意義、続く会社のためには続く社会のことを考えること、幸福を感じることは社会の利益になっている実感から生まれていること、管理を強化していくことでは幸せになれない、会社の発展のために人を雇うのではなく、人を活かすため経営していく、社員のためにではなく社員とともに事業を作っていくこと、社会のため未来のために仕事をしていくこと・・・たくさんの大切なことを宮田社長のお話から学びました。

社会で役に立つ実感を得れる、その土壌としての組織づくりを進めていくことが大切です。それを社外からお手伝いするために承認しあえる組織づくり、関係性構築を進めていきたいと思います。

中小企業診断士 阪本 純子

人材定着と組織成長のエンジン、「承認力」を活用しませんか?

2023.8.1

前回のブログで、組織をより良くしていくために、ラポールについて書きました。ラポールがあると、組織メンバーが、話しやすく、理解しやすく、助け合いやすくなり、結果的に業績向上にもつながります。

ギスギスした組織・・・
お互いを理解し、目標に向かう組織・・・

どちらが顧客満足を高め、業績を高められるでしょうか?

ラポールが組織にもたらす効果

今回、ブログで書いたのは、人材定着と企業成長の「鍵」となる、「承認力」です。

人だれでも本能的に「承認欲求」をもっています。

皆さんは次のようなとき、どのような気持ちになるでしょうか?

・人から認められた
・人から感謝された
・人から褒められた
・人から頼りにされた
・人から期待された

「うれしい!!」「やる気なる!!」「もっと頑張ろう!!」となる人が多いでしょう。

そして、そのような言葉を投げかかてくれる人のことを、信頼してくれるようになり、ひいては影響力がどんどん高まっていくことになります。

このブログを読んでくれている経営者の方には、「承認欲求を満たされる側」ではなく、「承認欲求を満たす側」になり、周りに影響力のある存在になってほしいと思います。

会社の組織内においても、承認欲求や自己重要感を満たすことは、業績を高めていくためにも、非常に重要な要素です。

承認欲求

人間は社会的な生き物であり、自分の成果や貢献が認められることで、自己の存在価値や自尊心を満たします。職場における承認は、社員がより高いパフォーマンスを発揮しようとする動機づけとなります。また、自分の努力が見えて認められることで、仕事に対する満足度やモチベーションが高まり、職場に対するロイヤルティや組織への所属意識を強化します。
これは社員の定着率を高め、組織の全体的なパフォーマンスを向上させる要因となります。

自己重要感

自己重要感は、個々の社員が自分が組織にとって重要であり、価値ある存在であると感じることです。自己重要感を感じる社員は、自身の業務に対するコミットメントを強化し、組織の目標達成に対する貢献意識が高まります。
さらに、自己重要感は社員の自己効力感を向上させ、困難に直面したときでも解決策を見つけ出し、困難を乗り越える力を与えてくれるものです。

これらを満たすためには、経営者や上司が積極的に社員の行動や業績などを適切に評価し、その成果やプロセス、取り組み姿勢などを認めることが重要です。また、社員一人ひとりが自分の仕事が組織全体の成功にどのように貢献しているのかを理解してもらい、それを感じることができる環境を作ることも大切です。

 

また、最後に重要なことは、それぞれの人によって「承認のツボ」が異なるということで、Aさんは尊敬されると嬉しい人、Bさんは感謝されると嬉しい人など、少し人によって、違ったりします。

そのあたりも理解しながら、承認できると、さらに効果は高いものとなります。

中小企業診断士 岡原慶高

組織活性化の秘訣を動画にしました!

 

 

 

 

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リーダーに必要な自己内多様性〜組織力を高めるために〜

2023.7.13

阪本です。今回は 前回も少し触れた多様性とリーダー、チームワークとの関係性について考えてみました。

※「自己内多様性」
※「イントラパーソナル・ダイバーシティ(Intrapersonal Diversity)」とは、一人ひとりの中に多様な視点や役割を持つこと。日本語では「個人内多様性」などと呼ばれています。組織におけるダイバーシティというと、多様な属性・経験を持つ人を採用することで実現できる「人材の多様化」を指します。一方、近年はイノベーションを創出する観点から「個人内の多様化」が注目されています。役割を一つだけ担っている人と、複数の役割を担い役割間の対立による葛藤を経験している人とでは、個人の中の「知の組み合わせ」の数に差があり、後者の人材のほうがイノベーションを起こしやすいと言われています。出所:「日本の人事部」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1566/

先月、小学5年生の息子の授業参観があり、授業は「LGBTQ+」についてのこと。私自身にとっても学びとなるものでした。子どもたちは、SDGsや気候変動について、大人以上の知識や関心を持っています。個人の尊重や個性の認め合いは当然のことであり、持続可能な社会を築くためにも重要な学びの項目として学校の教育の中にも入っています。授業の進め方も対話型が多いようです。例えば、図工であれば、自分以外のクラスの仲間の作品を見て、すごいと思ったことなどの一言感想を付箋に書いていくといったワークも取り入れられています。そして、昨日知った夏休みの宿題は、「ユニバーサルデザイン」や「バリアフリー」について調べることだそうで、私の時代にはなかったような内容であることも少し驚きました。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

さて、大人の世界の話。「多様な人材が活躍できる組織をつくる」という考え方は、人材不足の問題が起きる前から存在していました。調べてみると、海外では1970年代以降、国内では1990年代以降、企業や組織がダイバーシティ&インクルージョン(D&I)経営を重視するようになったといわれているようです。D&Iは企業の競争力や「サステナビリティ」といった考え方において重要な要素となっています。平等性、公平な機会や待遇が企業の雇用の姿勢として求められています。特に大企業では、D&Iに取り組むために女性活躍推進、介護や育児との両立支援、シニアの活躍促進、障がい者の雇用などの人事施策としても実施されていることで、いい会社としてのPRにも活用されています。

ただし、ダイバーシティの意味をもっと広く深く(これを「深層的ダイバーシティ」というそう)、一人一人の個が違っているという前提で「多様な個を活かす経営」が実現されることがD&Iの本質です。 特に人材に限りある少人数の小さな組織、中小企業においては、これが重要な要素となります。当然 「多様性」を重視し、様々な能力やバックグラウンドを持つ人材がいる組織では、バラバラでうまくいかないのです。

自己内多様性とチームワーク

従来のチームは同質性が効率的であるとされ、協調性が重視されていました。しかし、今では年齢や経験だけでなく、価値観においても「多様性」が当たり前になりました。多様な個を活かす組織を実現するためには、経営層やリーダーが「自己内多様性」や「個の中の多様性」を意識して磨くことが重要です。組織内では、部門横断的な経験や異なる立場を経験することによって、見えていなかった側面が見えるはずです。リーダー自身が「自己内多様性」を持ち、経験やスキルの多様性を磨くこと、会社外での経験やリスキリングを肯定的にとらえ、社内でもそれを自己開示し、積極的に取り組む後押しをできる環境を整えることが必要です。

自己内多様性を高めることで、受容力や創造性も高まり、相手と自分のバックグラウンドが異なることを前提として、よりわかりやすい意思伝達や丁寧なコミュニケーションが実現できるようになります。いわゆる「他者視点」(心理学的には「認知的共感」)が生まれ、時には創造的な摩擦が起こることもあります。これによって、多様性を持つチームのマネジメント力がつき、チームワークを仕掛けることができるリーダーとなっていくことがみえますよね。さらに「承認力」の醸成にも通じるものとなります。

さて、わが社を見てみると、代表含め4人のメンバーは多様性にあふれていると思います(笑)個の中の多様性も磨かれているようです。社内で実践していることといえば、全体ミーティングのチェックイン時の話や、ランチの時間がお互いの多様性を感じられる場となっていること、そこが信頼関係の構築につながりチームワークが自然と醸成できていっているんじゃないかなと感じています。会社は数人いればチームですし、社内外問わず、対人間との関係性で進める仕事が多いと思います。その中で、認知的共感、他者視点が必要なことを改めて書いていて気づきました。そのためにも「自己内多様性」について意識して、あえて「脱マイパターン」な行動するようにすれば、そういった能力も高めていくことができそうです。

是非、自身の一週間の行動を振り返って「自己内多様性」が高まっているか考えてみてくださいね。遊びも仕事のうちという自己肯定感を高めることになるかもしれませんが、ほどほどに(笑)

リーダーとしては、他者視点をもってメンバーそれぞれの活躍を後押しする気持ちが持てるようになってくるといいチームワークが作れそうじゃありませんか?

(参考)【改訂版】ダイバーシティ経営診断シートの手引き多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~2021年3月:経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/turutebiki.pdf

「ダイバーシティ経営」は、社員の多様性を高めること自体が目的ではありません。また、福利厚生やCSR(企業の社会的責任)の観点のみを直接的な目的とするものでもありません。経営戦略を実現するうえで不可欠である多様な人材を確保し、そうした多様な人材が意欲的に仕事に取り組める組織風土や働き方の仕組みを整備することを通じて、適材適所を実現し、その能力を最大限発揮させることにより「経営上の成果」につなげることを目的としています。出所【改訂版】ダイバーシティ経営診断シートの手引き多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~2021年3月:経済産業省

 

『インクルージョン』とは、一人ひとりが「職場で尊重されたメンバーとして扱われている」と認識している状態を指します。そのためには、職場メンバーの一員として認められることと、その人の持つ独自の価値が組織に認められていることが必要です。しかし現実には、必ずしもそうなっていないケースが多くあります。たとえば外国籍の社員に対して「海外市場への進出」に際して言語や文化的側面でだけアドバイスを求め、その他の重要事項は日本人の社員だけで決めてしまう場合は「分化」の状態を創り出してしまう可能性があります。逆に、シニア社員が「昔の経験を語ると社内で疎まれる」と考えて有益な知識の共有を控えるような場合は「同化」の状態を作り出している可能性があります。多様な人材が、それぞれ自分の「居場所」を実感できている状態が「インクルージョン」であると言えます。出所:令和2年度ダイバーシティ経営普及・定着手法開発等事業検討委員会 森永雄太委員(武蔵大学教授)

 

中小企業診断士 阪本純子

※メンバーの「自己理解・他者理解」を促進し、社員が主体性を引き出して持続可能な組織づくりをしませんか?詳しくはこちらをご覧ください。

 

多様な人材の個を活かす ~自分らしさの自由度アップが自律性を生む職場環境~

2023.6.19

こんにちは。大山です。
最近「多様性」ということばをよく見聞きします。毎日のように話題に上がっていますね。
日本は多様性の受容において諸外国と比べて遅れていると言われてきました。日本社会は集団主義や均質性を重視する傾向があり、異質な個人や意見が受け入れられにくいとされてきました。また、勤勉で礼儀正しく、規律を重んじるといった日本人の国民性が、職場では長時間労働文化を生み、社内規則を厳密に守って真面目に働くのが良いこととされてきた考え方もあります。

ところが今、働く人の多様性を尊重しようという機運が高まっています。多くの企業経営者は、従来のような職場文化では、多様化した価値観やグローバル化に対応できないと危機感を抱いています。また、労働人口の減少や市場の縮小などの影響もあり、多様な人材や市場に目を向ける必要性も増しています。

折しも、人手不足が社会的問題となっており、最近お会いする経営者様からも採用や従業員定着のお悩みを伺うことが本当に多くなってきました。人材確保が容易ではない昨今、多様な人材を認め、働きやすい職場環境を整え、従業員一人一人が高いモチベーションを持って働けるようにすることが経営者にとっては大きな課題となっています。

東海地方を中心に展開し、地域密着で50年続く老舗スーパーマーケットは昨年11月、従業員の髪の色やネイルのルールを大きく緩和しました。これまで店員の髪は黒か自然な栗色に限定され、ネイルは透明か薄いピンクのみが許されていました。
顧客の多くは中高年層であるため、ルールの緩和には懸念の声もありましたが、若い世代の従業員からは「自分の個性を生かしながら働きたい」という要望が強くあり、会社はある条件を設けることで髪やネイルの自由化に踏み切りました。その条件とは「店で一番元気な挨拶と好印象な接客をする」ことです。

ルールの見直しをきっかけに髪を金色に染めたあるスタッフは、目立つ髪色だからこそより丁寧な接客を心がけ、目元を明るく笑顔で接し、柔らかい会話をするよう努力しています。高齢のお客様に対しては笑顔で話しかけて袋詰めの手助けまで優しくサポートしています。自身がより地元に密着した店舗の一員となることを願っており、買い物客からも「この子は感じがいい」「ここに来るのが楽しみ」「金髪はおしゃれで素敵」と好印象だそうです。
従業員満足度(ES)の向上が顧客満足度(CS)の向上につながっている良い例といえますね。

名古屋市にあるテーマパークでは、身だしなみのルールを「すべて従業員の判断に一任する」ことにしました。その結果、赤色の髪、あごひげ、個性的な色合いのネイル、ピアスなど、より自由なスタイルで接客ができるようになりました。すべて以前は厳しく制限されていました。ルール変更によって、髪を好きな色に染められるようになったスタッフは「自分らしく働けることがモチベーションになる」「少ししんどくても、自分が可愛くいられていると思えばやる気が出てくる」と話しています。
見直しのきっかけは、従業員が楽しく働ける環境づくりの一環として「多様性」を認め合うプロジェクトが始まったこと。「従業員の身だしなみの自由」と「子供の安心・安全」は本当に関係があるのか、社内で数ヶ月かけて検討し、「子供たちの安全・衛生が守られるのならば、従業員の意志や個性は尊重されるべき」との結論に至りました。
従業員自身も自由を与えられることで、自発的な行動力や自律性が育まれ、その結果、業績向上につながるというねらいもあったと思います。

もう一つ、このルール変更がもたらした大きな効果は人材確保です。他業界同様、このテーマパークでも人材確保に苦労していたところ、ルール改定から1年たって、アルバイトの応募数がかつての2倍以上になり、過去最高を更新したそうです。

総合情報サービス会社マイナビが、直近1年以内にアルバイト採用業務に携わった20~69歳の会社員1,800人を対象に行ったアンケート調査(2021年)では、アルバイトの身だしなみを自由にすることについて「悪い影響を与える」と答えた企業は約3割で、ほか約7割の企業は「良い影響を与える」「影響はない」と回答しました。
「良い影響を与えると思う」と答えた企業からは、「優秀な人材が集まる」という声や、「多様化はこれからのニーズに生かされる」など事業の成長につながるという理由があげられています。

企業による身だしなみのルール見直しは、多様性を尊重し、個性を受容するための取り組みの一環です。ただし、単に自由を与えればよいという訳ではありません。見た目で表していた従来の企業イメージに替わる、それぞれの企業らしさを明確にして、それを全従業員に浸透・共有させることが必要です。企業のイメージやブランドを守りつつ、従業員の個性を生かした活躍を促すためには、明確なビジョンや価値観の共有が必要です。
先にご紹介したスーパーの「存在意義」と「ミッション」は下記のとおり掲げられています。

身だしなみルールが緩和され、髪色やネイルなどの見た目に統一感がなくなっても、「私たちならではのスタッフレベル」を提供し「地元密着」で「挑戦と進化」を続けるという共通の価値観があれば、そこに向かって一人一人が個性を発揮することができるでしょう。

今後、人口減少がますます進んでいく社会では、多様な人材を認め、それぞれが高いパフォーマンスを発揮して仕事をすることが求められます。そのために企業経営者は様々な施策を行っていく必要があります。自社では何ができるか、「多様性」「個性」「働きやすさ」「自律性」といったキーワードで考えてみませんか?

中小企業診断士 大山 マリ子