2022 | ブログ・コラム - パート 4

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2022年の投稿

組織が磨かれるリーダーシップ④~人的資本経営とシェアド・リーダーシップ~

2022.5.9

阪本です。

学校行事も再開、制限はありつつも対面の機会が戻ってきました。一方、コロナ禍で始まったオンラインでの朝活も継続しています。

前回「人は関わることで、主体的になる場が増えていく」と書きましたが、複数の組織、コミュニティに関わることで、自分事となる課題は増えていくことを、ますます実感する毎日です。日々のお客様との出会いに感謝しています。そして、その関わる組織で、自己理解と他者理解を積極的に進めていけば、「自分事」「主体性」って発揮できることを身をもって感じています。さて、今回も引き続き人と組織に関するリーダーシップについて考えてみました。

前回のブログ:https://accelc.co.jp/blog/soshiki7/

人的資源を「管理する」はもう古い、人的資本による価値創造へ

経営資源の基本は、古典的ですが、基本として人・モノ・カネ・情報といわれます。会社の経営計画策定のフレームワークとしてよく使われますよね。そして近年、目立ってきた「人的資本経営」として考えてみましょう。「資源」ではなく「資本」と言われるのはなぜでしょう?上場企業だけでなく、小さな会社でも今後のありたい姿を考えるうえで重要なことです。

【経営資源】

企業が経営を行う上で利用できる有形あるいは無形の資源。人的資源・物的資源・資金力・情報・商標・信用などの総体をいう。

 

経営資源のうち人的資源は、特殊なものです。会社が自由にコントロールできませんし、感情や状態によって変化するものです。資源は、企業が付加価値を生み出すために必要なものです。特に最近は人的資源を充実させるために人材戦略としてリスキリングやリカレントの重要性があちらこちらで話題になるようになりました。とはいいつつ、HRMという言葉に現われているように「人的資源管理」、人は管理の領域であり、人材育成費用として捉えられていました。

それが、近年は人的資本=ヒューマンキャピタルとして、「管理」ではなく。価値創造できるものであり、人材育成が「費用」ではなく「投資」として捉えられるようになっています。人々の価値観や働き方が多様化し、様々な考え方や背景を持つ人が個々を磨いて、それを組織の力として活かしていかなければ事業継続ができない状態になってきたからともいえます。

多様な働き方ができないと人は定着しませんし、少子高齢化で将来にも不安がある世の中です。人生100年時代、より長く働く時代に突入しています。人的資本を可視化するために企業は賃金や離職率といった分かりやすい数値的なことだけではなく、エンゲージメントや従業員満足度、従業員の育成への投資など定性的なものを分かりやすく見える化して公開していくことになってきています。それらが会社を評価するための指標となり、求職者だけでなく顧客も企業を選ぶ基準になってきています。

【人的資本】

一般に、人的資本は個人の持って生まれた才能や能力と、教育や訓練を通じて身につける技能や知識を合わせたものとして幅広く定義される。(時には健康も含まれる。)ただし、人的資本の概念を熱狂的に受け入れている実業界ではこれをもっと狭く定義する傾向があり、主に企業や特定産業の成功に直接的に係わる労働力の技能や能力と見なされている。(経済協力開発機構(OECD)の定義)

人的資本経営で有効なシェアド・リーダーシップ

人的資本経営では、共感や対話を通じて「個の力」を「組織の力」へ高めていくことが欠かせません。経営者はもちろん、経営に近い立場にある役職者にも当然必須な能力となります。旧来型のリーダーシップである経営の方向を示して、価値観を揃えて数字を掲げて部下を率いる「自分についてこい」タイプ、いわゆるカリスマタイプ、ワンマンタイプといった支配型のリーダーシップは時代遅れであることは誰もが感じています。

以前こちらで書いた組織を支える「サーバントリーダーシップ」はまさに大切なリーダーシップの概念ですよね。今回は、加えて「シェアド・リーダーシップ」についてもご紹介します。「シェアド・リーダーシップ」とは「チームメンバー全員でリーダーシップを発揮する」ということです。人的資本経営への注目と合わせて見直されているリーダーシップの概念です。

組織表上の管理職や役職者だけでなく、全員がリーダーシップを持って活躍できる組織ってどうやったらつくれるのでしょうか?新しくつくった組織であれば、ひとりひとりがそういった意識を持てるのでしょうが、元々支配型のリーダーシップやヒエラルキーな組織として継続している企業であれば、「メンバーから自発的に」ということを説いても、つくっていくことができません、リーダーシップを発揮する環境づくりを率先してできるのは、現状の多くの中小企業の組織であれば、経営層でしかないのです。

その環境づくりの第一歩は、経営層が、課題や問題と感じていることを常に見えるようにしておく、情報を公開していないと巻き込めません。全体感を把握できるような仕組みを作っておくことです。全体感を把握できず部分的な一部分の仕事しか見えないと、メンバーにリーダーシップを発揮できる場がありません。

その上で、活発なコミュニケーションができる土壌のもと信頼関係が培われている状態をつくっていくことで、安心して自発的に行動できるようになっていきます。そのためにも、役職としてのリーダーはもちろんメンバーそれぞれの強みや弱みを把握していること、自己理解と他者理解ができていること、全員が積極的にお互いのことに関心を持っていることが必要となります。

~まとめ~

シェアード・リーダーシップを発揮できるような環境は、①活発なコミュニケーションがある②お互いの自己理解・他者理解が進んでいる③目標と情報が共有されていて情報の偏りがないという、環境です。その環境をつくっていくことで、結果として成果を生み出す組織、生産性の向上が期待できます。

関連するサーバント・リーダーシップについては、以前のコラムもご覧ください。

組織が磨かれるリーダーシップ①~関係性の質とリーダーシップ~

https://accelc.co.jp/blog/soshiki4/

人的資本経営については経済産業省の検討会資料も大変参考になります。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinteki_shihon/pdf/009_02_00.pdf

中小企業診断士 阪本純子

※メンバーの「自己理解・他者理解」を促進し、社員が主体性を引き出す環境をつくるコンサルティングを行っています。「私たちが決めた、自分事になった行動指針」について、詳しくはこちらをご覧ください。

非対面型法人営業「ゼロからセールス」③

2022.4.15

「非対面型法人営業ゼロからセールス」の連載3回目です。

 

前回は、ビジネスツールは変化し続けており、10年後には今はないツールが主流になっている可能性が高いこと。

社会の変化に対応して、ビジネスや営業活動も変化させていくことが求められるということを説明しました。

非対面型法人営業「ゼロからセールス」②

 

コロナによって営業活動の転換点を迎えました。

今回は、営業活動の変化について解説していきたいと思います。

 

今の営業活動は、頑張ってもなかなか成果が出にくい時代と言えます。

人口増加時代は、国内経済が成長しており、消費も活発でした。

営業活動量を増加させると、それに比例して成果も出た経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

しかし、今は営業担当者の活動量が成果に繋がりにくい時代です。

人口増加時代は、100件のリストがあると、50件のアポが取れ、20件が見積提出まで進み、10件の受注が取れたとしましょう。

今は、100件のリストがあっても、なかなかアポが取れず25件になり、7件が見積提出まで進み、ようやく3件受注できるといったように、次のステップに進める見込み客も減少しています。

 

それなら、リスト200件受注して活動量を増やせばいいという考え方もあるかと思います。

しかし、営業担当者の活動量には限界があります。

やみくもに活動量を増やしても成果には繋がりません。

 

そして、コロナによって非接触・非対面が求められるようになり、特に新規の訪問営業が厳しくなりました。

コロナによって営業活動の転換点を迎えたと言えるでしょう。

大海原で1本釣りをする営業ではなく、釣り堀を作って魚を育て囲い込み釣り上げる営業へ転換を図ることをお勧めしています。

ITやデジタルツールを活用した企業活動が普及していますが、単にツールを活用すればよいということではなく、営業に対する考え方や組織体制も変更していく必要があります。

これらの点については次回のブログで解説していきたいと思います。

 

中小企業診断士 石井 規雄

リアルとオンラインの共存社会でのコミュニケーション

2022.4.10

今年も春を彩ってくれた桜。風が吹くとひらひらとピンクの花びらが舞い、そろそろ見納めです。決まって頭の中で流れるBGMは「満開の桜をこの先いったい何度見ることになるだろう」と歌っている、大好きな竹内まりやさんの「人生の扉」。桜の季節は短いだけに、なんとなく切ない気持ち。ちょうど旅立ちや別れの季節でもあるからでしょうね。

先日、小学校の卒業式を終えた甥っ子が会いに来てくれました。関東在住なので、コロナ禍でずっと会えず、3年ぶり。甥っ子の話では、同級生でも約半数が住所によって中学校区が変わるため、お隣の中学に分かれてしまうらしい。会えなくなる友達も多いということなので「卒業式は泣いた?」と聞いてみると、「全然~。だって、いつもオンラインゲームしてるし、チャットもできるし、今までと変わらないから~」と意外にあっさりしている。なるほど、これがZ世代か!と。
仰げば尊しを歌って涙したウェットな卒業式は今ではもう昔のことのようです。

生まれた時にはすでにインターネットやデジタル機器が身近にあり、日常生活の中でデジタルを活用することが当たり前の彼らの世代。(Z世代についてはこちらにも書いています。⇒「Z世代の価値観をつかむ ~SNSネイティブに向けたマーケティング~」)
リアルとオンラインの共存がいたって自然な日常となっている彼らにとって、会えないことはそれほど大きな障害ではないのでしょうか?

いや、決してそうとは言い切れませんね。このコロナ禍に高校や大学に入学したもののリモート授業ばかりで新しい友人ができず寂しい思いをしたり、就職活動で孤独感を感じたりしている若者が多くいることは、よく耳にします。

最低限必要な情報の伝達や意思疎通はオンラインで可能かもしれません。しかし、相手との信頼関係を築き、一体感や連帯意識が持てるようになるためにはそれだけでは十分とは言えません。特に、多様な価値観を持つ人が交わって同じ目標や一つの目的に向かうとき、まずはお互いに理解し合った上で協力しなければなりません。そのためには密なコミュニケーションを取りながら人間関係を深めていくことが必要です。

コミュニケーションには大きく分けて2つあり、たとえば話す、メッセージを書くといった、言葉を使うコミュニケーションのことを「言語コミュニケーション(バーバル・コミュニケーション)」というのに対して、表情や顔色、声のトーン、話す速度や間、視線、ジェスチャー(身振り手振り)、姿勢、動き(うなずきや振る舞い全般)、服装や髪形、香りなど言葉以外のコミュニケーションのことを「非言語コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)」といいます。

同じ空間にいれば、こうした相手の様子を目で見て、感じて、より深く理解し、思いやることができます。また、オンラインでは減ってしまいがちな、いわゆる雑談や世間話をすることで、相手との距離が縮まって共通点を見つけたり興味を抱いたりすることができ、良好な人間関係が築かれていきます。
そうした時間を重ねることが仲間意識や連帯感を醸成し、協力して目標を達成したときの充実感を共有することで、さらなる意欲の向上やモチベーションが高まります。
このような人間関係の土台がしっかりと築かれた環境であれば、オンラインもうまく活用しながらさらに良好なコミュニケーションをとっていくことができるでしょう。

この季節、新入社員を迎えられた職場も多いことと思います。コロナ禍で青春の一時期を過ごし、コミュニケーションの重要性をこれまでにないほど認識したZ世代を迎えるにあたって、社内のコミュニケーションのあり方は今のままで良いか、あらためて見直してみませんか?
社会人としての第一歩を踏み出す彼らにとって最初の職場での経験は、その後のキャリア形成に大きく影響するはずです。私自身、大学卒業後、最初に勤めた会社で学び経験させてもらったことや、そこで築かれた人間関係が、今の自分の生き方にもつながっていると感じています。彼らがこれからの人生、働くことに喜びを感じていけるような、そんなスタート地点にしてあげてください。

ちなみに、卒業式も意外にあっさりしていた甥っ子の場合は、リアルの場ですでに十分な信頼関係が築けている友達と日常的にオンラインを上手に活用できているケースだと理解します。あるいは、桜の花のような切なさを感じるにはまだまだ幼いだけなのかもしれません。

中小企業診断士 大山 マリ子

人財育成

創業者・後継者のための経営講座~ウィズコロナ、アフターコロナの経営戦略編④~

2022.3.31

岡原です。

テーマを創業者と後継者としていますが、「これから新しいことを始める経営者にお役に立つ情報を提供する」というコンセプトで書いています。

前回は、「経営の方向性」を考える際の留意点のひとつとして「競争優位性」「マーケットイン発想」「自社の強みの活用」という視点について、お伝えしてきました。

創業者・後継者のための経営講座~ウィズコロナ、アフターコロナの経営戦略編③~

ここ最近は事業再構築という言葉が良く聞かれるようになったり、コロナ後あるいはウィズコロナを見据えて、新たな事業を検討する会社さんが多くなっていると感じています。

今回は、如何に同業他社との違いを出し、競争力を持って事業を行うかを検討する際のベースとなる考え方についてお伝えします。

「モノ」提供業から「価値」提供業へ

皆さんは何業をされていますか?

この質問に対して、大抵は以下のような回答が返ってきます。

「経営コンサルタント業です」
「パン製造業です」
「旅館業です」
「美容業です」

といった感じです。

この回答が一般的な回答なのですが、ちなみに「価値提供業」という視点で、皆さんは何業をされているのですか?

と尋ねられると、どのようにお答えになるでしょうか?

「経営コンサルタント業です」→「社長の不安解消業です」
「パン製造業です」→「朝の楽しみ提供業です」
「旅館業です」→「くつろぎ提供業です」
「美容業です」→「癒しの時間提供業です」

左が「モノ提供業」で答えた場合、右が「価値提供業」で答えた場合のイメージです。

事業を価値提供業で捉えるメリットは何なのか・・・

それは・・・

「同業他社と差別化するための取り組みが考えやすい」ということです。

なぜなら・・・

例えば、美容室を経営している方が、私の美容室は「癒しの時間を提供している」と考えた場合・・・

お客様の入店から退店まで、どのように過ごしてもらったら「癒しの時間」になるのかを考えます。

例えば・・・新規さんが来店されて、カルテに記入してもらっている間は、ハーブティを出して、リラックスしてもらう。とか

店内の音楽はどんな音楽がいいかな・・・とか、カラーの待ち時間に何をしてあげたらいいかな・・・とかを考えるようになります。

一方で、私のお店は美容室と考えていると、(ちょっと極端ですが)技術をどのようにして磨けばいいか・・・だけを考えるわけです。

技術のことは多くの美容室で考えていることで、それで競争しても大きな優位性にはなりません。

それよりも、「どのような価値を提供するか」を考えることの方が、同様他社との差別化になります。

うちの美容室は・・・「癒しの時間提供業」

うちの美容室は・・・「大人のたしなみ力提供業」

うちは・・・「美魔女力サポート業」

これは思い付きで書きましたが、それぞれが異なる価値を提供する美容室になりますよね。

当然、行うサービスも行ってきます。

このように、一度ご自身の事業を「価値提供業」で捉え直すことで、競争優位を築くためのヒントが見えてきやすくなります。

アフターコロナやウィズコロナにおいて、競合との違い・差別化を検討されている方は、是非一度上記の視点で考えてみましょう!

お問い合わせはこちらへ!

中小企業診断士 岡原 慶高

ハイブリッド常態化でのリーダーシップ

2022.3.8

阪本です。特に学びの世界で『ハイブリッド教育』という言葉も使われるようになり、大学や高校でのオンライン+学校で学ぶ「ハイブリッド型授業」も広がり、学びの多様性が広がっています。これって企業でも共通するのではないでしょうか。

浸透してきたあらゆる場所や場面での「ハイブリッド」。その中でも働く場としての「ハイブリッドワーク」での、リーダーシップのあり方について考えてみます。

以前に書いたブログも2年近く前の記事ですが、今でも読んでいただいているようで、読まれていない方はこちらも合わせてお目通しいただけると嬉しいです!

https://accelc.co.jp/blog/withcsoshiki/

コロナ禍をきっかけにして、もともと制度として持っていた大企業やなんとなく仕方なしにやっていた小規模企業の方も(もちろんコロナ前から積極的にリモートワークを当たり前に整えていた事業者さんもいますが)、リモートワーク、テレワークが当たり前に定着してきました。テレワークとオフィス出社を併用するような「ハイブリッドワーク」が常態化してきました。

完全テレワークよりもハイブリッドワークを求める人の方が多いという調査結果があります。(ご参考に・・・)

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/leveling-the-playing-field-in-the-new-hybrid-workplace

  • 現在ナレッジワーカーの過半数(58%)がハイブリッドワークを行っているほか、3 分の 2 が自分の希望する働き方としてハイブリッドモデルを挙げています。
  • すべての従業員体験指標において、ハイブリッドワークとリモートワークの従業員によるスコアがオフィス勤務者のスコアを上回りました。完全オフィス勤務者にとっては、ワークライフバランスと仕事関連のストレスが大きい課題であることも判明しています。
  • 経営層、白人のナレッジワーカー、男性、子供のいない人ではオフィス勤務を選ぶ割合が高いことから、今後の職場では近接性バイアスによって既存の不公平が定着するリスクが高まっています。

ハイブリッドワークでリーダーシップが高まる

ハブリッドワークは、会社からのルールではなく、状況に応じてテレワークかオフィスワークを使い分ける働き方であり、本人の意志による多様な働き方です。社員の自律性に任せた働き方となるので、主体的に働くことが出来るようになります。一方、それぞれが自分の状況を開示しないと抱え込んでしまうことになります。管理職の立場にとっては、部下を信用しきれない、生産性が下がったような気がして、気になって仕方がない、空席が目立つ全員が揃わない机の島での自分の位置が揺らいでいるようで、なんだかフラット化している景色に居心地の悪さを感じているかもしれません。従業員の立場では、自分から報告とか相談しないと、経過を知ってもらう機会がなく、ますます自己責任でしかなくなります。成果でしか見られなくなると、本当に会社って必要?と思い始める従業員も出てきてしまい、定着率に影響が出る可能性もあります。

 

だったら、どうしたらいいでしょう?管理職の立場も従業員の立場であっても、すぐに相談できる、リーダーだからって部下に、普段から相談できないような関係性であったらうまくいきませんよね。主体性というより、ちょっとハードルを越える積極性も必要です。事務所にいるから、オンラインだからってそれぞれの遠慮をなくすこと、その一歩が主体性につながるのではないでしょうか?それぞれがリーダーシップが発揮できるチャンスともなります。

人は関わることで、主体的になる場が増えていく

よく経営者や管理職の方から「もっと主体性を持ってもらいたい」とお聞きします。そもそも主体性は持ってもらうものでなくって、自然と生まれてくるもの。人は関わること、情報を知ること、そして背景が分かることで課題意識を持ち、主体性が生まれてモチベーションも高まります。近接する対面の場であったような従来の「空気を読む」ということが出来にくくなるので、現実的な声がけ(多くの場合は、最近は文字によるチャットツールですよね)と、声がけがしやすい仕組みづくりがリーダーには求められます。打ち合わせで細かいニュアンスを伝えたいときは対面の人もオンラインの人もすぐに話せる環境をつくっておく、そのためにそれぞれのスケジュールや状態を把握できるような仕組みがあれば、ハードルが下がりそうな気がします。非同期コミュニケーションだからこそ意識する丁寧な表現やリアクションも必要となってきます。

 

ハイブリッドワークでも支援型リーダー

心理的な安心安全な場をつくることがハイブリッドワークにおいても大切です。ある企業は、オンラインもオフィスの人も毎日、短時間話す時間をつくっている、特にない時は5分で終わるし、何かある時は別途打ち合わせ時間をその場で設定することを行っているそうです。別の企業は、朝の挨拶とタスクを毎日チャットで、リモートの人もオフィス勤務の人も同じように全員に送る。またある会社は、ハイブリッドワーク体制になる前は、一応決めていても抜けてしまっていた1on1の実施を、コロナ禍で毎月1回事前にスケジュール化してやるようになったそう。最近は、日報でなく分報という方法をやっている事例も聞きました。

このように、テレワークのルールというより、コミュニケーションがやりやすくなる環境づくりをする能力がリーダーには求められるようになりました。その能力をつける人こそ、部下の支援ができるリーダー(例えば、サーバントリーダーシップ)となるのではないでしょうか?

ハイブリッドワークやテレワーク、たとえ対面で通常業務の会社であっても、ソーシャルディスタンス、パーテーションで物理的な距離が離れ、情報の入りにくさが、加速されています。マスクの影響で表情が見えない、感染リスク回避のための輪番制での出勤、ランチの默食などで、圧倒的にコミュニケーションの量は減っています。

物理的に近いことから発生しやすい会話、意図していない雑談からのアイデアなどにも、価値はあります。対面の場は必要だし、私も好きです。三密があるからこそ生まれるアイデアがあります。一方で、「三密から『三散』」の時代へ」( 作家・五木寛之氏)の言葉もでてきました。「拡散」「分散」「逃散」という表現のように、会社組織の在り方も、組織内外を含んで、分散や拡散を意識しつつ組織戦略を考えていく必要があると思います。さらに、組織を構成する「人」は資源ではなく「資本」という考え方が浸透してきています。そんなことも次回はお伝えしますね。

中小企業診断士 阪本純子