ブログ・コラム - パート 6

中小企業の経営力と業績向上を加速する アクセルコンサルティング株式会社 近畿経済産業局認定 経営革新等支援機関

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うれし恥ずかし、ちょっぴり自信の「持ち味」ワークをアクセルメンバーでやってみた!

2023.4.18

4月に入って早3週目となりました。就職、異動などで新生活をスタートさせた方々は、いかがお過ごしでしょうか?毎日が新しいことだらけで、許容量いっぱいの日々かもしれませんね。仕事のやり方を学ぶことのほかに、新しい環境を知って、その中で自分のペースをつかむことに今はまだ精一杯かもしれません。

とりわけ、最もエネルギーを使うのは、職場の人たちとうまくやっていくことだと感じている人も多いでしょう。何度も転職を繰り返してきた私の経験上も、そうでした。新しい職場に入るときには、何よりも一番気を遣っていたと思います。なぜなら、1日8時間労働として1日の約3分の1を過ごす場所は、自分にとってできるだけ居心地の良い場所であってほしい、その方が仕事のパフォーマンスが上がることは間違いないと、重ねた転職経験から学んでいたためです。そのためには、一緒に仕事をする仲間、上司、先輩は一体どんな人たちなのか、それぞれの人となりを早く知りたい、掴みたいと、いつも積極的かつ細かく配慮しながらコミュニケーションをとるようにしていました。これはたしかにエネルギーのいることでしたね。

迎える側も同じではないでしょうか。新しい人材が混ざることで化学反応が起こり、組織の雰囲気が変わることは往々にしてあるため、迎えるのはどんな人なのか、どんなキャラクターなのか、履歴書や面接ではわからない部分を知りたいと思うはずです。入る側も迎える側も、ある程度理解し合えるまではしばらく緊張状態ですね。

仲間どうしやチームにおいて、お互いの「持ち味」を知り、理解し、認め合う。まずこれだけでコミュニケーションは相当良好になり、場に良い空気が流れるようになります。さらに、自分の持ち味を意識して発揮すれば自分らしくイキイキと働くことができ、成果を出すことができます。そして、他人の持ち味を知り、認め、伝えることを日常的に行えば、その人の潜在能力を開花させ、人間関係が良好になり、信頼関係を築くことができます。結果として、組織全体が活気づき、成長していけるのです。

当社は昨年12月に新しいメンバーを迎えました。約3か月半ほど経って、そろそろお互いの持ち味に気づいた頃、代表を含むメンバー4人で「持ち味カード」を使ったワークショップを行いました。これがなかなか楽しかったです!(当社facebookでもご紹介しました。

仕事をしていく上で必要な要素が言語化・体系化された76枚のカードの中から、自分の持ち味だと思うカードを選んでいきます。「これは自信がある!自分らしい!」「日頃、意識して行動している!」と思えるようなカードです。最終的に究極の5枚を選んで、自分が知る持ち味と決めます。
次に、自分から見た他のメンバーの持ち味もそれぞれ5枚ずつ選び、選んだ理由やそれを裏付ける過去のエピソードなども考えます。
そして、お互いに説明し合いながら、持ち味の窓に置いていきます。

おもしろかったのは、自分が思ってもいない点を他人が持ち味だと認めてくれていたことです。
■自分は気づいていないが、他人は知っている=「宝の持ち味」
自分としては特に意識せず普通にしていたことが他人から見れば私の持ち味だとみられていた、自己評価と他者評価は違うのだということが新たな発見でした。理由を聞けばうれし恥ずかし、ちょっぴり自信もついて、全員ニコニコ、優しい空気が流れました。
下の写真は私の持ち味の窓です。自分では気づいていない「宝の持ち味」をたくさん見つけてもらい、特に「自信」や「影響力」は自分としては思ってもいないものだったので、驚きでした。せっかくこんなに人から認められている持ち味があるのだから、その「宝」を意識してもっと活かしていこうと思うことができました。

「持ち味の窓ワークショップ」は、新メンバーを迎えたチームや組織で、少し慣れてお互いの持ち味が見えてきた頃、メンバー間の信頼関係をさらに強くし、質の高いコミュニケーションを活発にするために、おすすめです。4月スタートのチームなら夏頃がいいかもしれませんね。
持ち味カードを使ったワークショップは、社員どうしで会社の行動指針を作成したり、キャリアプランを考えたり、階層別研修や新入社員研修で使ったりすることもできます。是非お気軽にお問い合わせください。オンライン説明会も行っています。ご予約はこちらのページをご覧ください。

中小企業診断士 大山 マリ子

組織マネジメント・・・なぜうまく行かないのか??その秘密は、〇〇にあった!!

2023.4.3

皆さんは何のために経営していますか?
地域や社会にもっと貢献していきたい・・・・
商品・サービスの提供を通じて、お客様により良くなってほしい・・・
もっと便利な世の中にしたい・・・

などなど、様々な思いを持って事業をされていると思います。

それは、皆さんの会社の経営理念であったり、ミッションであったり、あるはビジョンかもしれません。様々な言い方があるにせよ、皆さんが会社を経営している目的です。

その目的を実現していくためには、利益が必要不可欠です。
また、その利益を高めていくためには、お客様により高いレベルで価値を提供していく必要があります。

長くなりましたが、そのために皆さんは組織を作り、事業を行っていると思います。

自社の目指すところにより近づくために・・・
組織をより良くしていきたい・・・
社員間のコミュニケーションをより良くしたい・・・
お互いのことももっと理解し合って、効果的な仕事をしていきたい・・・

そのように考えている経営者の方は多いのではないでしょうか。

そのために一般的に行われる施策はマネジメントの強化です。

マネジメントとは、一言でいえば、「管理」することです。

 

組織で言うところの管理とは、例えば以下のような取り組みになります。

・人事評価制度、賃金制度の作成と運用
・1on1のミーティング、面談制度
・ブラザー制度(若い社員を特定の先輩社員がサポートする制度)
・目標管理制度
・プロジェクト組織
・人材育成のための教育制度 などなど

実際の小規模・中小企業でも上記のような制度を導入して、組織をより良くしていこうという取り組みがあり、それ自体は決して悪いことではありませんし、むしろ望ましいことです。

しかし、なかなか上手くいかない会社も多いのが現状ではないかと思っています。

その原因は何か?

組織活性化を考える時に、私たちはどうしてもマネジメント先行で考えてしまいがちですが、それが上手くいかない原因かもしれません。

組織活性化には、マネジメントともうひとつ重要な要素があります。
それは、「組織心理」です。
組織心理とは、組織心理学という学問の考え方と同じです。
組織心理学とは、応用心理学の一分野で、1960年代に発展したと言われています。個人とそれを取り巻く組織環境の中での人の心理的な側面に焦点を当てた研究です。
ここでいう組織心理は、まさに組織は個人の集合体で、各個人は様々な思いを持って組織を形成しています。

たとえば、
本当はチームメンバーみんなが共に成長し、それぞれが自分の分野で成果をだしたらいいと思っているのに、自分の得意分野で同僚が自分よりも成果を出したことに、なんとなくモヤモヤするとか・・・

上司からは何でも言ってこい、と言われていても、何となく相談しにくいとか、相談しにいくのにちょっとした勇気が必要で、後回しになったりとか・・・

会社からは求められている行動はこうなのに、なぜかそうしたくない・・・とか

本来は同じ方向を向いているはずの社長(父)と後継者(子息)がなぜか意見が対立したり、関係が上手くいかない・・・

単に制度だけ導入してもうまく行かないのは、そういうような表面的には現れてきにくい個人の心理的な要素が働いていることが十分に考えられます。

組織活性化のために、組織心理へ配慮するポイントの2つを紹介します。
(肯定的意図)
人の行動、それを生み出す心の動きには、肯定的意図があると言われます。肯定的意図とは、表面的にはネガティブな考えや行動もその本質は、その人自身にとって何か有益なものがあるということです。

自分の得意分野で同僚が自分よりも成果を出したことに、なんとなくモヤモヤするとか・・・
→ ここにも肯定的意図があります。例えば、モヤモヤすることで、「評価する人が適切な評価ができず、本当は自分が評価されると考える」とか「自分の存在意義を守りたい」とか・・・そういったものです。

あまりここでは詳しくは説明しませんが、その行動の背景には「どのような思い」があるのかを考えたり、本人と話し合ったりすることが必要かもしれません。

(ラポール)
ラポールはフランス語の「RAPPORT」が語源で「橋を架ける」という意味があります。お互いに心が通じ合い、安心して相手を受け入れることができる信頼関係が構築できている状態を意味します。
ラポールをどのようにして形成していくかは、また次回に詳しくお伝えしたいと思いますが、ポイントのみお伝えします。

「人は自分と似ている人に好感を持ち、自分と似ていない人には距離を感じる」ということです。
例えば、自分はゆっくり話すタイプなのに、ものすごい勢いで捲し立てられるとラポールは築けません。

自分は割と低い声の方なのに、甲高い声で話されると、ラポールは築けません。

要するに、相手の特徴や状況に合わせてコミュニケーションを取ることで、相手との距離感が縮まり、ラポールが築きやすくなるということです。

(長くなったので、詳しくは次回のブログで書きます)

【今日のポイントの振り返り】

マネジメントに大きく偏重した組織活性化策は上手くいかないことも多い。その原因は、組織心理(組織を構成する個人の心理や組織風土)に配慮されていないということが考えられます。

組織心理に配慮するためのポイントはいくつもありますが、ここでは2つ。

1.肯定的意図

2.ラポール

に配慮しながら、マネジメント施策を実行していくことが必要ということです。

中小企業診断士 岡原慶高

 

組織活性化の秘訣を動画にしました!

 

 

 

 

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アイスブレイクとチェックイン

 

 

AIもできる?「やる気を出して」は禁句、信頼関係と伴走力から高まるパフォーマンス

2023.3.20

阪本です。最近、新しい言葉が飛び交っていて、追いつくのに必死です。先日、DAO(分散型自律組織)という説明を展示会で聞き、調べてみると分かったような、分からないような・・・数年前、ティール組織(自律分散型組織)が注目され、私も、勉強したりあちこちでお話ししたり、友人と議論したりしていました。DAOは分散型自律組織という日本語略。さらに進化しているものかというとまたちょっと違うようです。気になる方はぜひググってみて下さいね。いや、chatGPTで聞いてみて下さい。感覚的にですが、未来の組織の形はどんどんフラットに変化していきそうです。

「先生」の役割が変化

さらに、今ホットなchatGPTをはじめとして、何でも手元にスマホがあれば、どこでもいつでも人に聞かなくても調べることができる世の中。当然のことながらすでに、知識のインプットは動画で手軽にできるようになってきて、悩み事もAIに相談すれば一般的な回答には簡単に行きつけます。そんな中、学校に求められるのは、指導するのではなく、引き出して自分で選択して判断して切り開いていく力をつけてあげること、励まして、寄り添って、生徒に合わせて対話を重ね、人と人の関係性を学んでいける場を作ること、プロジェクトをチームで推進できるようになること、そのために支えることなどが先生の役割になっていきそうです。選択肢があることを気づかせてあげたり、何気なく支えてあげたり、学びを促していく「伴走者」の役割が今まで以上に求められると思います。

信頼関係の構築と伴走する力

企業のリーダーも同じですよね。リーダーに求められる役割は組織の個々のメンバーやチームの伴走者であること。以前のブログでもご紹介した、「サーバントリーダー」と通じますが、信頼関係の構築を前提に、伴走力が必要です。私たちのような経営支援業の役割も「伴走者」であり、またそのクライアント様の従業員、その先のお客様、そして社会全体を含めたあらゆるステークホルダーに価値をもたらすために仕事と思っています。お客様と信頼関係の構築は何より大切、すぐに頼れる存在でありたいと切磋琢磨しています。(私たち中小企業支援現場でも「伴走型支援」「対話型支援」「経営力再構築伴走支援」の機運醸成が図られています)

伴走者としての声がけ

では、伴走者って具体的にどんな声がけをしますか。

経営者の方とお話ししていて「従業員にやりがいを持って動いてほしい」というようなことを言われることは多いです。「やりがい」「働きがい」はとっても大切なことですし、私自身も「やりがい」を持って働きたいと思っています。ただ、「やりがいを高めて働こう」「やる気を出してほしい」とそのまま伝えてもやりがいややる気は生まれるでしょうか。言われた従業員側は「じゃあ給料どれだけ上がるの?」なんて思いになるでしょう。「がんばって」と言ってやる気はうまれるでしょうか。

他にもよくありがちな言葉に、「何でも聞いて」「いつでも相談して」と声がけし、従業員と話しやすい関係性をつくろうとする姿勢は大切です。一方、従業員の立場からは「話しかけにくい」「伝えても分かってもらえない」「話を聞いてもらえない」というほうが先で「何でも」「いつでも」というあいまいさゆえに余計にコミュニケーションに躊躇が生まれる、そもそも信頼関係が薄いということがないでしょうか。従業員が主体的になれないというのもよく出てくる声です。例えば、1on1をはじめとした対話の場や信頼関係構築のための場を「時間がないから」「面倒だから」とどこかで感じていませんか。すり合わせていける場をスケジュールに入れていくことも大切。「承認しあえる関係性」「エンゲージメント」そして「定着」を高めるための仕組み(「レコグニション」と言われます)をつくり、環境を整えていくことがリーダーとしての役割です。

さらに、このブログを書いている間に、マイクロソフトのワードやエクセルにもAI搭載のニュースが・・・メールの文章も、経営分析も、箇条書きを文章化してくれるようになるそうです。人間だから、AIだからではなく、AIと共存して、人が使うことでAIは強化学習され寄り添えるようになり、人間をモチベートしたり、チームメンバーとなることもできそうです。でも必要なことは普遍的なことなのかなと思います。

信頼関係の構築、人と人の関係性の質の強化、チームワークの醸成、そして伴走力、人間力を磨いていく必要性をますます感じる最近です。これって経営者だから管理職だからではなく、どんな立場でも必要なことですよね。

組織内外における関係性の質を高める仕掛けをつくっていきませんか?研修の中ではメンバーの特性やありたい未来を知って、仕事で活かしてもらえるよう、それぞれの未来に寄り添って支援できるリーダーであるために、他者理解を深めていくことをやっています。そうするとチームワークが自然と生まれ、会社内のコミュニケーションも円滑になり、働く場の活力が高まります。

当社では、会社の状態に合わせて関係性の質を高めていく仕掛けづくりに伴走するご支援しています。

たくさんのオンラインツールも出てきていますが、未来の組織の形をメンバーで想像しながら、次世代のメンバーとも共有し、持続可能な組織基盤を醸成していきましょう。

中小企業診断士 阪本純子

※メンバーの「自己理解・他者理解」を促進し、社員が主体性を引き出して持続可能な組織づくりをしませんか?詳しくはこちらをご覧ください。

 

ひとくくりにしない人事施策 ~ゆとり世代・Z世代が会社に定着する組織づくり~

2023.3.3

3月1日、企業の採用活動の広報が解禁され、本格的な就職活動がスタートしました。会社の将来のために新卒採用を考えている中小企業は多いと思います。しかし、新卒の離職率(新卒が3年以内に会社を辞める割合)は、30%以上と高水準が続いています。すなわち、新卒採用者の3人に1人が3年以内に会社を辞めています。

 

新卒社員が3年以内に離職する理由は様々あります。例えば、ストレス過多や人間関係、社風になじめないなど、今どきのゆとり世代・Z世代らしい理由が多いです。しかし、全員がこのような離職理由ではありません。近年は、ゆとり世代やZ世代が好みそうなイメージのある“ゆるい職場”を理由に大企業をやめる若手従業員が増えています(記事:https://www.businessinsider.jp/post-252302)。

 

このような若手が増えている理由には、就職活動で様々な経験をしている学生が増加していることが背景にあります。例えば、複数の企業への職場見学や長期のインターンシップ、企業とのイベントや連携をして行う活動などがあります。このような他の企業と比較できる経験を持っている学生は“ゆるい職場”に対して、「職場環境は良いが、同じ会社で一生働くことに不安を感じる」と考える人は多いです。

 

また、ゆとり世代やZ世代の価値観が変わっていることも理由に挙げられます。従来は会社が従業員を育てるということが常識でした。しかし、近年は、自分が就職した会社を使って自身を成長させるという発想を持つ人が増えています。このように転職前提で就職活動をしている学生が増えていることが分かります。

 

経営者にとっては、このようにモチベーションが高く、かつ将来活躍が期待される若手従業員の定着率を高めることは必須です。定着率を高める一般的な人事施策として、①動機付け要因を与え、②衛生要因を取り除く、の2つの方法があります。

 

  • 動機付け要因:責任ある仕事を任せること、結果が出れば昇進させることなど
  • 衛生要因:職場環境の改善、人間関係に配慮した配置換えなど

 

これらの人事施策を一斉に実施することも大事ですが、ゆとり世代やZ世代をひとくくりにせず、若手従業員それぞれに合った人事施策を行うことも重要です。なぜならば、若手従業員にはそれぞれの強みや特性、価値観などが異なっているからです。人事面談などを通して、若手従業員としっかりとコミュニケーションをとり、それぞれに合った人事施策やサポートをすることで定着率を高めることができます。

 

弊社では、従業員の定着率を高めるチームづくりに関するセミナーを得意分野としています。興味のある方はぜひ弊社までご連絡ください。

https://lp.accelc.co.jp/ksr

 

経営コンサルタント 平田紘基

合言葉「困ったときは大騒ぎ」~経営者の仕事は“仲間づくり”~

2023.2.21

本日の京都市内、雪が降ったりやんだりしています。今朝は弊社オフィス隣の小学校のグラウンドにも積もり始めていました。先月の雪の日には、子どもたちは喜んで雪合戦。通り道にはこんな雪だるまも出現していました。

雪景色は大人の私たちも風情を感じるものではありますが、物流には多大な影響を及ぼすので、特に運送業界の方々は雪の予報に気が気ではないと思います。雪道で何時間も立ち往生した大型トラックやトレーラーのドライバーさんの様子をニュースで見ると、24時間365日私たちの生活を支えてくださっている大変なお仕事だなとあらためて感じます。

大阪の高槻市に本社のある株式会社宮田運輸さんもそんな私たちの生活には欠かせない物流を担う会社の一つで、食品や生産資材をメインとした配送や倉庫管理などを手掛けておられます。先日、その宮田運輸の宮田社長の講演をお聞きする機会に恵まれました。同社は、従業員をとことん信じる「心の経営」をモットーとし、その経営手法は国内のみならず、海外の経営者からも注目されており、毎年多くの企業が視察に訪れています。

宮田運輸には「困ったときは大騒ぎ」という合言葉があるそうです。社内では「宮田の仲間」という管理職クラスが参加しているLINEグループがあり、日常のあらゆる出来事が共有されていて、何か困ったことが起きたら「困っている!」と大騒ぎするそうです。
・悪天候で高速道路が使えず、配送センターの荷物が動かない!
・接触事故を起こした車両が出て、車も荷物もダメになってしまった!
・事務所のサーバーがダウンして、配車手続きがうまくいかない!
こんなメッセージが流れてくると、社長を含め全員が打開策を考え、現場の判断で次々と解決に向かって動くそうです。「人手が足りない!」なら空いている仲間がいち早く現場に駆けつける、「トラックが足りない!」には余裕のある事業所が車両を回し、「搬入が重なって倉庫のスペースに不安がある!」という配送センターがあれば、空きのある倉庫に仮卸をして翌日運ぶといった対応。トップダウンではなく、ボトムアップで対処していく。困っている仲間がいるなら応援に駆けつけよう!と、事業所間、個人間の垣根を越えて助け合うという土壌が社内にはできていて、さらに、こういった対応事例、エピソードを「宮田の仲間」で流して共有すると、現場での「ありがとう」がみんなからの「ありがとう」に変わっていき、また別のトラブルが発生したとき、仲間同士が自発的に助け合えるようになっていくそうです。

「上から下への一方通行の働きかけで、働く人たちが主体性を持って動き出すことはありません」と宮田社長。「ああせえ、こうせえ」と指示するのではなく、「困っている」「助けてほしい」と言ってしまう。それを当たり前にすることで、全員が同じ問題に取り組む仲間だという意識が広がっていくのだとおっしゃっています。
過去のブログでも何度かお伝えしているキーワード「心理的安全性」が非常に高い組織(チーム)になっているのですね。心理的安全性が低い組織(チーム)では、助けを求めることは自分の無能さをさらけ出す行為であり、周りの信頼を損ねるのではないかといった心配も生じて、助けを求めることに歯止めがかかります。ミスや失敗が許されず自己責任ばかり追及されてしまう組織(チーム)でも「助けてほしい」とは言いづらいでしょう。

「誰かの役に立ちたい」「人助けのできる自分でありたい」「仲間と一緒に何かを成し遂げたい」こういう想いを人は誰でも持っていると経営者や現場のリーダーは信じて、一人一人がその想いに気づく場をつくり、気づいたことを発揮できる環境をつくっていく、会社がそういう場になるよう心がけて動いていくのが経営者の仕事であり、それはマネジメント(=管理)ではなく「仲間づくり」のようなものだと宮田社長は言われています。
ですが、宮田社長も最初からこのような考え方だったわけではなく、数値目標を掲げて社員を追い込んでいた時期もあったということで、紆余曲折、多くの失敗から社長自身が学び、現在に至ったそうです。

大事なのは強制したり、押しつけあったりするよりも助け合うような関係性をつくっていくこと。このような土壌をつくり、組織文化、社風にしていくことは一朝一夕にはできません。まずは小さな一歩から。「困ったときは大騒ぎ」を合言葉にしてみませんか?

中小企業診断士 大山 マリ子
(参考文献:『社長の仕事は社員を信じること。それだけ。』宮田博文著)