ブログ・コラム - パート 4

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続く社会をつくる組織の意義ってなんだろう〜幸福を考える〜

2023.9.12

阪本です。先日の日曜日、株式会社宮田運輸さんがたくさんの協賛企業とともにに実施された「こどもミュージアムフェスタ」に行ってきました。ラッピングされたトラックの展示のほか、たくさんのスポンサー企業のブースがあり、子どもたちを楽しませる企画が盛りだくさん。うちの息子たちは、左官体験とパッカー車のかぶりものの色塗りに精を出していました。協賛企業とたくさんのボランティアの皆さんで運営されているあたたかな優しさあふれる空間で楽しませてもらいました。

主催する「こどもミュージアムプロジェクト」は、10年前の2013年8月に宮田運輸が起こした交通死亡事故をきっかけに生まれた取り組みです。こどもたちが描いた絵をトラックにラッピングすることで、トラックをより心温まるものに、やさしい気持ちにすることにつなげて交通事故もつなげていく取り組みをされています。その取り組みで事故が4割減少したそうです。そして1年に1回、今回のようなイベントを開催されています。

当社のブログでも今年の2月に大山が詳しくは書いていますので、ブログも合わせてごらんください。

https://accelc.co.jp/blog/aikotoba/

宮田社長のお話は先々週にお聞きする機会があり、2020年に初めてお聞きしてから4回目でしたが、毎年どんどん進化されていて学びがありましたのでここでもご参考になればと思い紹介します。毎年進化し続けられていること、日々の活動から続く社会をつくっていく思いが反映されている意義ある事業としていることに都度感銘を受けています。

社会の利益になっている実感から幸福感が生まれる

SDGsに貢献できること、社会課題解決のためのビジネス、IT系のスタートアップなどが注目されがちですが、運送業は世の中で必須であって当たり前の仕事、だからこそ社会の中の立ち位置を見据えないと、そこに従事する意義を見出せなくなってしまいます。組織の土壌を常に意識して整えていく必要性ますます感じます。きちんと届いて当たり前、あらためて感謝されることもない仕事って私たちが生活する中で常に支えてもらっているのに、気にしないことが多いのではないでしょうか。そこで働く人に感謝するってわざわざ口に出さないし、当たり前になっている。未来につながっている実感が持ちにくい仕事だからこそ、組織で働く意義を感じられないとモチベーションは高まりません。

 

㈱寝屋川興業さんのブースで被り物パッカー車の色塗り

一丸となる必要も、ベクトルを合わせる必要もない

過去には会社のために売上利益を達成しよう!というようなスローガン、ベクトルを合わせてとか、一丸となって達成しよう!というような会社組織が当たり前だったかもしれません。私が以前働いていた会社も「ベクトルを合わせる」という事業部長からの話が毎月の会議であったことを思い出します。宮田社長は一丸となる必要はない、一人一人は違うもの、会社のために、誰が頑張りますか?それぞれ違う個性を持っているしそれを合わせようとするのは会社の都合ですよと。会社は続く社会をつくるための手段なんです。人が誰でも持っているやさしい気持ち、助けようという良心を発揮しやすい場を作ればチームワークは自然と生まれるものになっていく、助け合える関係性がつくられていくんですね。社会課題を生まない心をつくることが必要じゃないですかと。

社外に開かれた認め合える場

毎月、会社の中だけではなく社外にも開かれた「みらい会議」をやられています。勤務時間ではなく日曜日に開催され、社員の家族も参加されています。会社を開いていく活動の一つです。会社の中だけで考えるのではなく、社会の中でつながっている実感を持つこと、そのために自社の社員が社外の目に触れられる場となっていることに意味があります。各事業部の月次損益が社内外の参加者に配布され、社外の方も持って帰ります。数字について会議の場でつめるわけでなく、それを事業所ごとにつくる過程を大切にしています。それを役職者じゃない社員が発表することをやられています。そこが認め合える場になっているそうです。社長は事前に目を通しておき、発表ごとに「美点凝視」でコメントしているそうです。貴重な認め合える場として組織が大きくなっても機能しているなと思います。そんな開かれた会社だからこそだからか、親子で働かれている社員が28組もおられるそうです。

やさしい気持ちが未来をつくる

監視されるのではなく、良心に従うことを信じる、そのために教育も行われています。なぜこどもの絵なのか?ということについては、誰でも昔はこどもだった、経験のあることだから、本来の自分に帰る、生まれながらに持っている良心を取り戻す、こどもたちを感じることで未来を感じることができるということです。

普通、出庫のトラックの出入り口には「止まれ」っていう文字が書いてあるはずなのですが、宮田運輸の今回富岡町につくった物流センターでは「止まる」なんだそうです。ここも良心に従うということを信じていることの現れですね。

当社は「幸せ創造企業の創造」を掲げています。幸福を感じる会社をつくる意義、続く会社のためには続く社会のことを考えること、幸福を感じることは社会の利益になっている実感から生まれていること、管理を強化していくことでは幸せになれない、会社の発展のために人を雇うのではなく、人を活かすため経営していく、社員のためにではなく社員とともに事業を作っていくこと、社会のため未来のために仕事をしていくこと・・・たくさんの大切なことを宮田社長のお話から学びました。

社会で役に立つ実感を得れる、その土壌としての組織づくりを進めていくことが大切です。それを社外からお手伝いするために承認しあえる組織づくり、関係性構築を進めていきたいと思います。

中小企業診断士 阪本 純子

ChatGPTの新機能3選!知って得するChatGPTの最新機能を徹底紹介

2023.8.25

皆さん、ChatGPTをきちんと使いこなせていますか?最近は、大企業だけでなく、東京都などの自治体も導入しており、人手不足の中、限られた人数でいかに効率的に業務をこなせるかが非常に重要になってきています。弊社でもChatGPTや生成AIに関してブログや勉強会で情報発信をしています。興味のある方は是非ご覧ください。

ChatGPTを使いこなせ! ~業務効率化を実現する方法とポイント~

生成AIの波に乗れ!中小企業経営者が生成AIを活用すべき3つの理由

今回のブログでは、ChatGPTを使いこなそうと頑張っている中小企業の経営者に向けて、知っておいて得するChatGPTの新機能3選を紹介します。

 

①質問を学習させない設定

ChatGPTは高度な文章生成能力を持っていますが、これは様々な質問内容を学習することで達成されています。そのため、ChatGPTを利用する際に社内の機密情報を入力すると、その情報も学習するため情報漏洩のリスクが考えられます。しかし、業務でChatGPTを使うためには、そのような重要な情報の入力が必要な場面もあります。

このジレンマを解決するために、ChatGPTには「学習させない設定」が用意されています。具体的には「Setting & Beta」メニューの「Data controls」内にある「Chat history & training」オプションをオフにすることで、チャットの内容が学習されるのを防ぐことができます。これにより、機密情報を安全に扱いながらChatGPTを活用することが可能となります。

ただし、この設定を利用する場合、注意点があります。学習させない設定を選択すると、チャットの内容は30日後に自動的に消去されてしまいます。そのため、大切な情報や対話の履歴を残しておきたい場合は、別途保存することが必要となります。

 

②カスタム命令(Custom instructions)

ChatGPTには新機能として、ユーザーが繰り返し入力する役割やプロンプトを省略できる「カスタム命令」機能が追加されました。この機能は、有料版では7月から、無料版では8月から提供が開始されました。この機能のメリットは、同じ業務内容に関してChatGPTを継続的に使用するユーザーがプロンプトの入力を省略できます。つまり、作業の時短に貢献します。

このカスタム命令機能を利用するためには、「Custom instructions」の設定から、ユーザーが通常入力するプロンプトを設定することで活用できます。さらに、この機能を使用することで、ChatGPTに対してどのような回答をしてほしいかの指示も設定可能です。これにより、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが実現されます。ただし、別の設定でチャットをしたい場合は、カスタム命令を解除する必要があることに注意が必要です。

 

③プロンプトや回答のコピペ機能

ChatGPTで生成された回答を頻繁にコピペする方にとって非常に便利な機能が存在します。生成された回答の右上に表示されているボードマーク(図1)をワンクリックするだけで、その回答をコピーできます。その後、任意の場所にペーストすることで情報を転記することが可能です。

また、チャット全体の内容を参照したい場合は、チャット画面の右上にある特定のマーク(図2)をクリックすることで、チャットの内容を全て含むページへのリンクを取得できます。このリンクを使用することで、オンライン上でチャットの全内容を確認することができます。ただし、質問を学習させない設定(①)と、チャット全体のコピペ機能(③)を同時に使用して、情報を保存することはできないことに注意が必要です。

 

 今回は、ChatGPTの機密情報を安全に扱う「学習させない設定」、繰り返しの入力を省略する「カスタム命令」、そして回答やチャット内容を簡単にコピーできる機能について紹介しました。今後ChatGPTはさらに進化し、新機能をさらに追加させるとOpneAI社は発表しています。ChatGPTがさらにバージョンアップされた際には弊社から情報発信させていただきますので、定期的にブログやメルマガ、弊社主催の勉強会にアクセスしていただければと思います。

 

経営コンサルタント

平田 紘基

復活!リアルコミュニケーション ~メラビアンの法則に学ぶ~

2023.8.8

とにかく暑いこの夏。普通に仕事をして家に帰るだけの一日の活動でも体力を奪われるような気がします。体にはこたえますが、それでも、4年ぶりの祇園祭完全開催、4年ぶりの天神祭船渡御、4年ぶりの花火大会、4年ぶりの甲子園全校入場行進などなど、世の中「4年ぶりの○○」が多く、否が応でも気分は盛り上がりますね。
お盆休みに帰省で地元に帰ってくる旧友と久しぶりの再会というのもこの夏は多いかもしれません。私も、今年はそんな企画がいくつかあるので、忙しくなりそうですが楽しみです。その参加率の高いこと!みんなコロナ自粛の反動でしょうか。予定されているどの集まりも、声掛けしたメンバーの約9割が参加です。普段、SNSなどオンラインでつながってはいても、やっぱり会いたい!という感じでしょうか。

つい先日、その第一弾があり、行ってきました。久しぶりの再会に思わず握手やハグ!そして、だれもが言ったのが「やっぱりリアルがええよなぁ~」
コロナ禍でのリモートワークの経験談が話題にのぼりました。オンラインでのビジネス交渉、特に相手が外国人の場合は難易度が高く、直接会えばどうにかコミュニケーションできるものの、オンラインではまるで無理だったとか、オンライン飲み会をやってはみたものの、盛り上がらず失敗だったとか。リモート飲み会もやり方によっては楽しくできるそうですが、少なくとも私の周囲では成功例が少なく、こうして「やっぱりリアルよなー」とか言っているのは昭和世代だから?と思わなくもないですが、とにかくやっぱりリアルがいいと、それは私も同感です。

どうしてリアルがいいのでしょう?
それは、ノンバーバル(=非言語)コミュニケーションが影響しているためだと考えられます。ノンバーバルコミュニケーションとは、表情や顔色、ジェスチャー、姿勢、目線など非言語的な手段で情報を伝えるコミュニケーションの一形態です。人間は日常のコミュニケーションにおいて、言葉だけでなくノンバーバルな要素も積極的に利用していて、その影響は大きいとされています。

心理学者のアルバート・メラビアンによって提唱された「メラビアンの法則」は、コミュニケーションにおいて言語情報(会話そのものの内容)が7%、聴覚情報(声の大きさや話すスピードなど)が38%、視覚情報(表情や視線など見た目や仕草)が55%の割合で相手に影響を与えるというもので「7-38-55のルール」や「3Vの法則」とも呼ばれています。

メラビアンの実験結果では、話している内容と声のトーンや表情が一致しない場合、人は表情を優先して受け取る傾向にあります。たとえば
・笑いながら叱る ⇒ あまり本気で怒っていないという印象を受ける
・不機嫌そうに御礼を言う ⇒ 心からの感謝ではなく不満があると受け取られる

このことから、コミュニケーションを取る際、話し手の意図を正確に伝えるには、言語情報・聴覚情報・視覚情報という3つの情報を一致させる必要があるということがわかります。

たとえば、接客や取引先との交渉や会議でのプレゼンでは、どんなに魅力的な内容でも、最初から最後まで淡々とした調子で話すと聞き手はつまらなく感じたり、熱意が伝わらなかったりするかもしれません。話の内容に応じて声に抑揚をつけたりジェスチャーを取り入れたりして変化をつけると、相手の興味をひきつけ、自信や魅力を効果的にアピールすることができます。
上司や同僚と会話をするときも、相手の表情やジェスチャーなどの非言語的なサインをより注意深く観察することで相手の感情や意図を読み取り、適切な反応を示すことで、より円滑なコミュニケーションが実現します。リーダーであればチームに対して自信と信頼を持って接し、リーダーシップを発揮するためのノンバーバルコミュニケーションを意識的に行うことが大切です。TPOを意識した身だしなみを心がけたり、明るい口調や笑顔で人に接したりすることもメラビアンの法則を取り入れたコミュニケーションスキルです。

オンラインではカメラ越しの表情やジェスチャーが制限され、声のニュアンスも伝わりにくくなり、その結果、参加者同士のリアクションが鈍くなって会話がもたついてしまうことがあります。メラビアンの法則を活かしきれない環境だといえます。
ようやく徐々にリアルが戻ってきた日常。ビジネスの場でも友人や家族とのコミュニケーションの場でもノンバーバルを意識してみませんか?相手に好印象を抱かれて、予想以上のメリットが期待できるかもしれません。

中小企業診断士 大山 マリ子


<夏季休暇のお知らせ>
勝手ながら、8月14日(月)~15日(火)を夏季休暇とさせていただきます。
ご不便をおかけしますが、ご了承くださいますようお願いいたします。

人材定着と組織成長のエンジン、「承認力」を活用しませんか?

2023.8.1

前回のブログで、組織をより良くしていくために、ラポールについて書きました。ラポールがあると、組織メンバーが、話しやすく、理解しやすく、助け合いやすくなり、結果的に業績向上にもつながります。

ギスギスした組織・・・
お互いを理解し、目標に向かう組織・・・

どちらが顧客満足を高め、業績を高められるでしょうか?

ラポールが組織にもたらす効果

今回、ブログで書いたのは、人材定着と企業成長の「鍵」となる、「承認力」です。

人だれでも本能的に「承認欲求」をもっています。

皆さんは次のようなとき、どのような気持ちになるでしょうか?

・人から認められた
・人から感謝された
・人から褒められた
・人から頼りにされた
・人から期待された

「うれしい!!」「やる気なる!!」「もっと頑張ろう!!」となる人が多いでしょう。

そして、そのような言葉を投げかかてくれる人のことを、信頼してくれるようになり、ひいては影響力がどんどん高まっていくことになります。

このブログを読んでくれている経営者の方には、「承認欲求を満たされる側」ではなく、「承認欲求を満たす側」になり、周りに影響力のある存在になってほしいと思います。

会社の組織内においても、承認欲求や自己重要感を満たすことは、業績を高めていくためにも、非常に重要な要素です。

承認欲求

人間は社会的な生き物であり、自分の成果や貢献が認められることで、自己の存在価値や自尊心を満たします。職場における承認は、社員がより高いパフォーマンスを発揮しようとする動機づけとなります。また、自分の努力が見えて認められることで、仕事に対する満足度やモチベーションが高まり、職場に対するロイヤルティや組織への所属意識を強化します。
これは社員の定着率を高め、組織の全体的なパフォーマンスを向上させる要因となります。

自己重要感

自己重要感は、個々の社員が自分が組織にとって重要であり、価値ある存在であると感じることです。自己重要感を感じる社員は、自身の業務に対するコミットメントを強化し、組織の目標達成に対する貢献意識が高まります。
さらに、自己重要感は社員の自己効力感を向上させ、困難に直面したときでも解決策を見つけ出し、困難を乗り越える力を与えてくれるものです。

これらを満たすためには、経営者や上司が積極的に社員の行動や業績などを適切に評価し、その成果やプロセス、取り組み姿勢などを認めることが重要です。また、社員一人ひとりが自分の仕事が組織全体の成功にどのように貢献しているのかを理解してもらい、それを感じることができる環境を作ることも大切です。

 

また、最後に重要なことは、それぞれの人によって「承認のツボ」が異なるということで、Aさんは尊敬されると嬉しい人、Bさんは感謝されると嬉しい人など、少し人によって、違ったりします。

そのあたりも理解しながら、承認できると、さらに効果は高いものとなります。

中小企業診断士 岡原慶高

組織活性化の秘訣を動画にしました!

 

 

 

 

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リーダーに必要な自己内多様性〜組織力を高めるために〜

2023.7.13

阪本です。今回は 前回も少し触れた多様性とリーダー、チームワークとの関係性について考えてみました。

※「自己内多様性」
※「イントラパーソナル・ダイバーシティ(Intrapersonal Diversity)」とは、一人ひとりの中に多様な視点や役割を持つこと。日本語では「個人内多様性」などと呼ばれています。組織におけるダイバーシティというと、多様な属性・経験を持つ人を採用することで実現できる「人材の多様化」を指します。一方、近年はイノベーションを創出する観点から「個人内の多様化」が注目されています。役割を一つだけ担っている人と、複数の役割を担い役割間の対立による葛藤を経験している人とでは、個人の中の「知の組み合わせ」の数に差があり、後者の人材のほうがイノベーションを起こしやすいと言われています。出所:「日本の人事部」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1566/

先月、小学5年生の息子の授業参観があり、授業は「LGBTQ+」についてのこと。私自身にとっても学びとなるものでした。子どもたちは、SDGsや気候変動について、大人以上の知識や関心を持っています。個人の尊重や個性の認め合いは当然のことであり、持続可能な社会を築くためにも重要な学びの項目として学校の教育の中にも入っています。授業の進め方も対話型が多いようです。例えば、図工であれば、自分以外のクラスの仲間の作品を見て、すごいと思ったことなどの一言感想を付箋に書いていくといったワークも取り入れられています。そして、昨日知った夏休みの宿題は、「ユニバーサルデザイン」や「バリアフリー」について調べることだそうで、私の時代にはなかったような内容であることも少し驚きました。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)

さて、大人の世界の話。「多様な人材が活躍できる組織をつくる」という考え方は、人材不足の問題が起きる前から存在していました。調べてみると、海外では1970年代以降、国内では1990年代以降、企業や組織がダイバーシティ&インクルージョン(D&I)経営を重視するようになったといわれているようです。D&Iは企業の競争力や「サステナビリティ」といった考え方において重要な要素となっています。平等性、公平な機会や待遇が企業の雇用の姿勢として求められています。特に大企業では、D&Iに取り組むために女性活躍推進、介護や育児との両立支援、シニアの活躍促進、障がい者の雇用などの人事施策としても実施されていることで、いい会社としてのPRにも活用されています。

ただし、ダイバーシティの意味をもっと広く深く(これを「深層的ダイバーシティ」というそう)、一人一人の個が違っているという前提で「多様な個を活かす経営」が実現されることがD&Iの本質です。 特に人材に限りある少人数の小さな組織、中小企業においては、これが重要な要素となります。当然 「多様性」を重視し、様々な能力やバックグラウンドを持つ人材がいる組織では、バラバラでうまくいかないのです。

自己内多様性とチームワーク

従来のチームは同質性が効率的であるとされ、協調性が重視されていました。しかし、今では年齢や経験だけでなく、価値観においても「多様性」が当たり前になりました。多様な個を活かす組織を実現するためには、経営層やリーダーが「自己内多様性」や「個の中の多様性」を意識して磨くことが重要です。組織内では、部門横断的な経験や異なる立場を経験することによって、見えていなかった側面が見えるはずです。リーダー自身が「自己内多様性」を持ち、経験やスキルの多様性を磨くこと、会社外での経験やリスキリングを肯定的にとらえ、社内でもそれを自己開示し、積極的に取り組む後押しをできる環境を整えることが必要です。

自己内多様性を高めることで、受容力や創造性も高まり、相手と自分のバックグラウンドが異なることを前提として、よりわかりやすい意思伝達や丁寧なコミュニケーションが実現できるようになります。いわゆる「他者視点」(心理学的には「認知的共感」)が生まれ、時には創造的な摩擦が起こることもあります。これによって、多様性を持つチームのマネジメント力がつき、チームワークを仕掛けることができるリーダーとなっていくことがみえますよね。さらに「承認力」の醸成にも通じるものとなります。

さて、わが社を見てみると、代表含め4人のメンバーは多様性にあふれていると思います(笑)個の中の多様性も磨かれているようです。社内で実践していることといえば、全体ミーティングのチェックイン時の話や、ランチの時間がお互いの多様性を感じられる場となっていること、そこが信頼関係の構築につながりチームワークが自然と醸成できていっているんじゃないかなと感じています。会社は数人いればチームですし、社内外問わず、対人間との関係性で進める仕事が多いと思います。その中で、認知的共感、他者視点が必要なことを改めて書いていて気づきました。そのためにも「自己内多様性」について意識して、あえて「脱マイパターン」な行動するようにすれば、そういった能力も高めていくことができそうです。

是非、自身の一週間の行動を振り返って「自己内多様性」が高まっているか考えてみてくださいね。遊びも仕事のうちという自己肯定感を高めることになるかもしれませんが、ほどほどに(笑)

リーダーとしては、他者視点をもってメンバーそれぞれの活躍を後押しする気持ちが持てるようになってくるといいチームワークが作れそうじゃありませんか?

(参考)【改訂版】ダイバーシティ経営診断シートの手引き多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~2021年3月:経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/turutebiki.pdf

「ダイバーシティ経営」は、社員の多様性を高めること自体が目的ではありません。また、福利厚生やCSR(企業の社会的責任)の観点のみを直接的な目的とするものでもありません。経営戦略を実現するうえで不可欠である多様な人材を確保し、そうした多様な人材が意欲的に仕事に取り組める組織風土や働き方の仕組みを整備することを通じて、適材適所を実現し、その能力を最大限発揮させることにより「経営上の成果」につなげることを目的としています。出所【改訂版】ダイバーシティ経営診断シートの手引き多様な個を活かす経営へ~ダイバーシティ経営への第一歩~2021年3月:経済産業省

 

『インクルージョン』とは、一人ひとりが「職場で尊重されたメンバーとして扱われている」と認識している状態を指します。そのためには、職場メンバーの一員として認められることと、その人の持つ独自の価値が組織に認められていることが必要です。しかし現実には、必ずしもそうなっていないケースが多くあります。たとえば外国籍の社員に対して「海外市場への進出」に際して言語や文化的側面でだけアドバイスを求め、その他の重要事項は日本人の社員だけで決めてしまう場合は「分化」の状態を創り出してしまう可能性があります。逆に、シニア社員が「昔の経験を語ると社内で疎まれる」と考えて有益な知識の共有を控えるような場合は「同化」の状態を作り出している可能性があります。多様な人材が、それぞれ自分の「居場所」を実感できている状態が「インクルージョン」であると言えます。出所:令和2年度ダイバーシティ経営普及・定着手法開発等事業検討委員会 森永雄太委員(武蔵大学教授)

 

中小企業診断士 阪本純子

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