中小企業は今、生産性向上が必須となっています。その背景には、原材料費や人件費の高騰・人口減少に伴う人手不足などがあります。今後は限られた経営資源の中で利益を確保しつつ、将来的にどのように商品・サービスの価格転嫁を行っていくか、つまり生産性を向上させることが必須になっています。今回のブログではどの業種でも必ず行わないといけない事務作業の効率化・生産性向上について紹介します。
事務作業とは、一般的にオフィスや組織内で行われる日々の管理活動のことで、書類の作成、記録の保管、データ入力、通信の処理、ファイル整理などが含まれます。事務作業の主な目的は、組織の効率的な運営を支え、スムーズな情報の流れを確保することにあります。この事務作業には、以下の3つの問題点があります。
- 属人化しやすい
- 身体的負担(長時間残業、休日出勤)
- 心理的負担
1つ目の属人化とは、特定の個人に作業を依存する状態のことです。作業内容にあいまいな判断を必要とする作業が含まれているため属人化が起こります。ある作業に対して、特定の担当者の担当期間が長期化したり、高い専門性が必要になると属人化しやすくなります。
2つ目は、事務作業が社内の管理活動という重要な業務であり、必ずしなければならない作業であるために残業せざるを得ないという身体的負担を負う場合があります。属人化を理由に休日出勤したり、体調不良でも出勤しないといけないという負担も該当します。
3つ目は、重要な業務であるからこそミスできないというプレッシャーの中で作業を行う必要があります。心理的負担を軽減するために二重・三重のチェックを行いますが、その作業時間が増えると、身体的負担が増加します。
これら問題点を解決し、生産性を向上させるための施策として、以下の3つがあります。
- 業務フローの見える化
- アプリ・ソフトの利用
- RPAやマクロ機能の利用
1つ目の施策は、業務フローの見える化です。これは作業を矢印で記述し、作業の流れを示すとともに、作業で使っている書類が紙なのか、データなのかを記載します。記載例が以下の図のようになります。
この中で無駄な作業の流れがあればそれを削除して効率化します。また、事務作業処理後はデータで管理する場合が多いため、紙の書類はできるだけデータで扱えるようにデータ入力の時間を削減します。
2つ目のアプリ・ソフトは、エクセル処理よりもそれぞれの作業に特化した機能が搭載されており、誰でも分かる作業画面となっているので作業効率を大幅に高められます。
3つ目は、自動化コードを作成したり、ノーコードでPC上のロボットを作成して作業を自動化する方法です。RPAについては以前に当ブログで紹介していますのでそちらをご覧ください。
2,3つ目の方法はデジタル化による業務効率化の方法です。1つ目の方法は主に作業を減らしたり、改善したりしますが、基本的には、作業は作業者が実施しなければなりません。一方、デジタル化による業務効率化はうまく使いこなせば、作業を自動化でき、作業者を配置する必要がなくなる場合もあります。つまり、最適な人員配置が可能となり、人手不足の中でも売上向上につなげることができます。生産性向上や業務効率化をお考えの会社はぜひ、業務フローの見直しや作業のデジタル化をしてみてください。
経営コンサルタント
平田 紘基