クラフトビールとZ世代 ~商品開発の裏側にあるストーリー~ | ブログ・コラム

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クラフトビールとZ世代 ~商品開発の裏側にあるストーリー~

2022.8.8

連日の猛暑とコロナの急拡大で厳しい夏ですが、1年半以上続けている筋トレのおかげで(?)夏バテもせず、コロナにも負けず過ごしている大山です。

冷たいビールが最も美味しい季節。そのビールも家飲みで楽しむ人が、このコロナ禍で増えたようです。私もそんな一人ですが、ここ数年、市場が大きく伸びているのがクラフトビールです。クラフトビールとは、小規模な醸造所で職人がこだわりをもってつくる、多様で個性的なビールのこと。消費者が自分の好みの味わいを探して、選べる楽しみがあります。
そもそも「クラフト」とは技能や技巧、手芸や工芸という意味で、その語源から、作り手がこだわって少量生産で作った商品がクラフト〇〇と呼ばれるようになりました。クラフトビールのほかにもクラフト酒やクラフトチョコレート、クラフトコーラ等、様々なクラフト〇〇があります。一般的な大量生産品よりも手間暇がかけられているため、値段はやや高めに設定されていますが、価格より質を求める感度の高い消費者が増えつつあることや、嗜好の多様化などを理由に、最近は身近な商品として親しまれるようになっています。

ところで、最近は若者のアルコール離れが進んでいます。要因としては、情報通のデジタルネイティブを中心とした健康意識の高まりや予防医学への関心の高まりから、自分の身体や精神の健康を考えて、あえて飲めるけれどほとんど飲まない、お酒を飲むようなシーンでもあえて飲まないというライフスタイルを選択する人が増え、またそれを多様性として認め合う若者が増えてきていることにあると考えられます。コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、どんちゃん騒ぎなどは、もはや古くてカッコ悪いことなのだとか。

そんな中、クラフトビールが若者にも受け入れられているのはなぜでしょうか?
Z世代の消費行動 ~モノ・コト消費から「イミ消費」へ~」の回で、多様性を認め、個性を尊重する価値観をもつZ世代の消費行動についてお伝えしました。
作り手がこだわって少量生産する個性的なクラフトビールは、そんなZ世代の価値観・感性にうまくマッチすると考えられます。職人のこだわりや想い、ビール造りの裏にあるストーリーなど、商品そのものの機能だけではなく、それに付帯する価値に共感して選択する「イミ消費」へとつながるのです。

京都府北部の丹後半島の付け根に位置する与謝野町では、地元産のホップを使用し、近隣の海の悪臭の原因となっていた厄介者のカキ殻をろ過材や水質調整剤として活用したクラフトビールが造られています。これまで廃棄物として処理されていたカキ殻は、その量が膨大で、処理費用が財政負担となっていました。これを資源として有効活用することで、このクラフトビールは「環境保全」「地域貢献」「持続可能な社会の実現」につながっているのです。
環境に優しいビールとして、飲めば飲むほど海がキレイになるという点がZ世代には大いに共感されるところなのでしょう。人気商品となっているそうです。
しかも、この事業は、地域資源を活かした街づくりをめざしていた地元の若者が起業し、一つ一つ課題を解決するために多くの人を巻き込み、協力を得ながら進めてきました。まさに、Z世代のZ世代によるZ世代のための商品といえるかもしれません。

学校教育での啓発もあり、SDGsへの取り組みがもはや当たり前になっていることも、Z世代を「イミ消費」へと向かわせる要因です。
新しい商品・サービスを開発する際、今後はずせない視点ですね。

中小企業診断士 大山 マリ子