阪本です。「求人を出しても応募が来ない」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」——。そんな悩みを抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。先日、人材確保をテーマに講演をさせていただきました。準備をしながら、そして経営者の方々と意見を交わしながら改めて感じたのは、「人材確保=採用活動」ではなく、そもそも働きたくなる職場をつくることが最優先だ」ということでした。
事例として紹介させていただいた会社は、採用の仕組みが特別に優れているというよりも、働きたいと思える仕掛けづくりをしている、そして生き生きと働き続きけるための工夫があることが共通点でした。そして、そんな会社は「一緒に働きたい」「この会社を知人に紹介したい」と自然に人が集まるのです。
「今いる人を活かす」「職場の魅力を高める」「関係性を強化する」の3つの視点から、人材確保につながる職場づくりについてお話しします。
今いる人を活かす:人が辞めにくい職場とは?
「人材確保=新しい人を採ること」ではありません。まずは、今いる人が活躍できる職場をつくることが最優先です。大企業と比較して中小企業の退職理由を見ると、「給料が低いから」という理由もありますが、「成長の実感がない」「職場の人間関係が悪い」「働きづらい」など、環境面が大きな要因になっていることが分かります。逆に言えば、待遇を大きく変えなくても、環境を整えることで、人材流出を防ぐことができるのです。
ある製造業の会社では、社内での「スキルの見える化」を進めたところ、若手の離職率がぐっと下がりました。それまでは、日々の仕事に追われる中で「自分が成長している実感がない」という声が多く、辞めてしまう人も少なくなかったのです。そこで、仕事を細かくスキルレベルに分け、どの仕事ができるようになったかを社内で共有できるようにしたところ、「自分ができることが増えている」と実感できるようになり、意欲が上がったそうです。また、「承認の文化」を取り入れた会社では、コミュニケーションが活発になり、社員同士の関係性が良くなったことで、人が辞めなくなったという事例もあります。
職場の魅力を高める:求職者に選ばれる会社とは?
「うちは大企業と比べたら、条件が悪いし、人も来ない」と諦めてしまっていませんか?確かに、大企業と待遇や知名度で競争するのは難しいかもしれません。でも、中小企業ならではの強みを活かせば、「ここで働きたい」と思ってもらうことは十分可能です。従業員が「この会社なら知人を紹介したい」と思えるような職場づくりを進めたところ、離職率が下がり、採用コストも削減できたといいます。「知り合いに紹介したくなる会社」というのは、それだけ働く環境が整っているということです。また、求職者にとって「実際に働くイメージが持てるかどうか」は非常に重要です。ある会社では、採用ページに社員の「1日の流れ」や職場の雰囲気が分かる写真を掲載することで、応募者とのミスマッチが減ったそうです。「仕事の内容がよく分からない」「どんな人が働いているか分からない」といった不安を取り除くことが大切です。
関係性を強化する:チームワークのある職場をつくる
以前のブログでも書いてきたように、職場の「関係性の質」が、人材確保にも直結しています。「採用活動」より「働きたくなる職場づくり」が大切です。「今いる人が辞めず、働きがいを感じる職場づくり」こそが、結果的に人材を引き寄せる最大の要素です。人手不足の中「どうすれば求職者に選ばれるか?」と考えることも大切ですが、まずは「今いる人が、この会社で働き続けたいと思えるか?」を問い直してみてください。
職場の雰囲気を変えるのは、小さな工夫からでも十分可能です。
明日からできる一歩を踏み出し、働きたくなる職場づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか?そのツールとして「承認力向上研修」「持ち味発見ワークショップ」も有効ですよ~

持ち味カードを使って楽しく「自己理解・他者理解」 他者から見た自分の新たな見え方を知れることもうれしく 他者への関心も高まりチームワークあふれる組織作りに役立つ仕掛けがたくさん。
①持ち味発見ワークショップ
②承認力向上研修
中小企業診断士 阪本 純子